重大なミスが続発(1)
パッケージの作り直しをした結果、発売日の延期が決定したのであります。
「……せっかくがんばって納期に間に合わせたのに、あの苦労はなんだったんだよ……」
などと思いつつ、予約ユーザや取引先各社への対応に追われていたわけです。
で、そんななか協力会社のプログラマさんに急ぎで発注しておいた修正済みのマスターCDができあがったという連絡があったので、それを上永谷まで受け取りに行き、さらにCDのプレスとパッケージをお願いしている会社がある朝霞台まで、そのマスターCDを届けることになったのであります。
「じゃあ、totsugekiくん!」
「は? なんでしょう?」
「悪いんだけどマスターCDを取りに行って工場まで届けてくれ!」
「へ?」
「……ご迷惑をおかけいたしますがよろしくお願いします」
「ええ〜!?」
こういったものは、ふつうミスをした人間が自らが責任をもって届けるものだと私は固く信じていたわけですが、それが簡単に打ち砕かれてしまったわけです。
つうか本来であれば、ここで
「おまえはなにさまのつもりなんだよ」
といってやるところなのですが、あえてなにもいいませんでした。
「ま、優秀な社員さまに任せるより、自分でいったほうが安心だし」
と自分に言い聞かせながら、会社帰りに協力会社のプログラマさんの事務所に行ってマスターCDを受け取り、翌日の朝霞台行きに備えたのであります。