FileMakerが使えない人間はこの会社の社員ではない


というようなことを入社してすぐの頃に社長にいわれたのであります。

なもんで、私は


 「FileMaker? 別に悪くはないと思うけど、WindowsならAccessなんじゃないの?(社員5名のうち、私以外はすべてWindows XPユーザなのであります)」


と思ったのですが、すぐに


 「ははーん、ここはデータを商品にして飯を食っている会社なんだから、社員のみなさんはAccessは使えて当然で、FileMakerが使える=DBを理解しているってことだな」


と判断し、


 「ああ、そうなんですか。私はリレーションの概念は理解しているつもりですけど、FileMakerは昔ちょっとかじった程度で使いこなすまで至っていないので、勉強の必要がありますね」


と答えたのであります。すると


 「ああ、そうなんだ。じゃあ、いいものがあるからこれで勉強してよ」


ファイルメーカーの実用書数冊をどさどさと机の上に置かれたので、


 「ああ、ごていねいにありがとうございます」


と答えたものの、「でも、ずいぶんと冊数が多くねえか?」と不審に思いながらも、パラパラとページをめくりながら内容をみていたのであります。

そうしたら、例の優秀な社員であらせられるK林さんが、


 「じゃあ、totsugekiさん、その本を読んで内容を理解したら、ぜひ私たちにもFileMakerの使い方を教えてください」


と本気とも冗談ともつかない口調でいったので、私はてっきりシャレでいっているのだろうと思って、


 「いやいや、私はFileMakerは本当に大昔にかじった程度ですから。それにみなさんと違ってAccessは使ったことありませんからね」


と答えたのであります。そうしたら、


 「え? 私たちもAccessは使ったことありませんけど……」

 「え!?」

 「それにFileMakerもユーザーの管理をするのに使っているだけですから……」

 「ええー!!?」

 「だからtotsugekiさんにその本の内容を理解してもらって、便利な機能を教えてもらえたらいいなって思っただけなんですけど……」

 「え? でも、みなさんもこの本は読まれたんでしょう……?」

 「ええ、一応目は通しましたけど、記述が難しいせいか内容を理解するまでには至りませんで……」

 「……」


と、ものすごい事実が発覚してしまったのであります。


 「うーん、別にFileMakerも悪くはないと思うけど、みんなAccess使えないのかよー。じゃあ、あのK林さんの“私は仕事ができるんだー”っていうものすごい自信はどこからくるんだ……?」


まあ、そんなことは考えるだけ不毛なのであります。

さ、FileMakerの勉強、勉強。