そして翌日の昼休みに


さっそく派遣元に


 「今回の派遣先の仕事は指示があいまいなうえに、求められているレベルが高すぎて自分にはついていけません。おまけに社員の方もなんだか非協力的だし、どう考えても派遣先のオーダーミスなので誰かかわりに画像処理が得意な人をよこしてほしいんですけど」


という内容の電話をしたのであります。

とはいえ、そんな都合のよい人がいるわけがないのは私も重々わかっているわけで、つまりは「引き継ぎとかいっているけど、もし契約期間終了後に社員にしてくれるといっても自分はここの社員になる気はない。つうか、可能ならいますぐにでも契約を終わらせたい」という意思表示をしたのであります。

で、あること、ないこと……もとい、あることをかなーりふくらませた内容の文句をいいまくって、「ああ、すっきりした」と職場に戻ったら、さっそくチーフデザイナーという肩書きの女性と6月いっぱいで辞めることになっている例のやる気のない男性社員に会議室に呼び出されたのであります。


 「えーと、いま総務部長のほうから仕事の段取りはどうなっているんだっていう話をされたんですけど……」

 「はい」

「話を聞いたかぎりでは“totsugekiさんが仕事についていけないから気をつけるように”っていわれたんですけど、いまやっている仕事でそんなに難しい仕事なんてあります?」

 「……」


このときにした話はあんまりにも不毛なので詳しくは書きません。

ですが、予期せずくだんのやる気のない社員の方と話をする機会をもつことができ、彼がなぜやる気がないのか、はたまた仕事に非協力的なのかを彼自身が直接語ったわけではありませんが、なんとなくその理由がわかったのでありました。


 「ここで(彼と)同じ仕事をするようになったらボクもそうなるんだろうなあ……」


当初は“覇気のないやつだな”くらいにしか思っていませんでしたが、彼がいままでに担ってきたであろう仕事の負担とその仕事への思いと熱意を感じ、同情というか、なんだかものすごくやるせない気分になったのでありました。