土曜日はとても暑い日だった(続)
20時30分にやっとこナイターが終わり、
「ふう、これでやっと家に帰れる……」
と思ったのも束の間、「ご飯を食べに行きませんか?」といわれ、条件反射で「ああ、いいですよ」と答えてしまったのであります。
「じゃあサイゼリアにしましょう」
とコート近くにあるサイゼリアに入ってまずは生ビールで乾杯をしたのでありますが、思っていたよりもおいしくない。というか、まずい。
「この味はどう考えても一番絞りじゃないような……それともおいらが疲れているだけか?」
と思いつつも、とにもかくにもソファにゆったりともたれて体力を回復したであります。
で、男3人、女2人でどう考えても多いだろ!? ってくらい料理を頼み、さっそく出てきた料理を食べはじめたのでありますが、いつもコートを取ってくれている世話役の女性がしゃべる、しゃべる。
つうか、こちらが疲れて黙っているのをいいことに(というか、そんなこと気にしちゃいない)、テニスのことから遺産相続のことまで立て板に水のごとく自分のことばかりをしゃべりまくるので、まわりのみんなもさすがに閉口している様子なのですが、そんなことにはまったくおかまいなしで1人でしゃべりまくっているのであります(ほかのメンバーはおとなしい人たちばかりなので、いつもそんな感じなのだろうというのは想像に難くありません)。
でも、ほかのメンバーもおとなしいうえにお人好しなものだから、「ああ、いつまで聞いてなきゃいけないんだろう」という顔をしつつも、誰も彼女を牽制したり、話をさえぎったりしないのであります。
仕方がないので新参者の私が「おいおい、バランスってものを考えろよな」などと思いつつ、彼女の話を茶化したり、皮肉たっぷりに相づちを入れたり、矛先を変えたり、話をほかのメンバーに振ったりといろいろとしてみたものの、結局彼女は2時間ほとんどしゃべりっぱなしで、さすがにみんながうんざりしているのをみかねた私が、
「じゃあ、そろそろ……」
と声をかけると、みなさん「もっと早くいえよ」といった感じでそそくさと帰り支度をはじめて、あっというまに解散とあいなったのでありました。
「……ああ、テニスだけならまだしも、なんだか疲れる」
と多摩川の土手沿いの道をふらふらと走り、自宅に戻ってきたのは夜中の23時過ぎで、シャワーを浴びてから急いでテレビをつけると、女子の決勝はすでに決着がついたあとだったのですが、もう体力も限界に近かったので、
「ま、いいか」
とそのままひっくり返ってすぐに眠りについたのでありました。