本日はかかりつけの動物病院へ


予防注射を受けに行ったのであります。

といっても、そのかかりつけの動物病院というのが前に住んでいたところの近所なので、以前のようにキャリーバッグを2つかかえて、きこきこと自転車でこいでいると背中のキャリーバッグに押し込められたコタローが「ギャーギャー」いうので、道行く人がみんな振り返る……というわけにもいかず、きゅうきょ父上に車を出してもらっての来院であります。

で、病院に行くために1年ぶりに段ボールの中からキャリーバッグを引っ張りだしてきたわけですが、それをみたコジローが、


 「これからなにかいやなことをされそうだ」


という気配を敏感に察知したらしく、走って棚の裏に隠れてしまいました。

そしてそれをみたコタローも逃げ腰ながら果敢にキャリーバッグのにおいをかいだりしていましたが、やはりびくびくしており、私はそれをながめながら「どうやって捕まえてやろうかな」なんて思案を巡らせたりなんかして、一人と2匹は朝っぱらから妙な緊張感につつまれていたのであります。

しかし、もうかれこれ6年も猫と暮らしていると、そんなことは慣れっこになってしまうのでありまして、まずはキャリーバッグを部屋の真ん中に置き、リラックスした素振りでおもむろにテレビをみはじめるのであります。

すると、私の態度をみたにゃつらは、


 「あれ? なんかいやな入れ物を出してきたけど、どこにも行かないのかな?」


と、部屋のど真ん中に置いてあると,いつも閉じこめられるいやな入れ物なのにもかかわらず好奇心旺盛な動物である猫はそばに近づき、ふんふんとにおいをかがずにはいられないのです。

そして私はその間もなんでもないかのようにテレビをみているふりをしているわけですが、30分もするとにゃつらは

 「なーんだ、部屋のなかにいやな入れ物を出してきただけで別にどこにも行かないんじゃん」


と、キャリーバッグの存在は気にはなるものの、すっかり油断するのであります。

私はその間も部屋のなかであえてリラックスした態度でごろごろし続けているわけですが、父上から到着のメールが届いた途端に、まずはコジローをとっ捕まえてキャリーバッグにソフトに押し込み、さらに逃げ腰のコタローをとっ捕まえてキャリーバッグに押し込めるわけです。

で、キャリーバッグをすばやく車に積み込み、一路動物病院へと出発。

途中、道路混雑で到着が遅れたものの予定どおり一番乗りし、待たされることなく診察と注射を受け、移動と診察でくたびれたのかやけにくったりしているコタローとコジローをつれてさっさか自宅に帰ってきたのでありました。