このたび一身上の都合により(その3)


2008年4月22日のエントリー(「このたび一身上の都合により(その2)」)の続き。

前回の呼び出しからあっというまに2週間が経ち、3月中旬にまたもや担当営業がやってきたのであります。

で、今回は私たちを呼び出す前に、まずは管理者を呼び出して、私が4月いっぱいで辞めることを伝えたらしいのです(私は担当営業が来ているのを知りませんでした)。

すると、内線で呼び出されて席を立ったと思った管理者が血相を変えて戻ってきたと思ったら、つかつかと私の目の前にきて


 「土曜日休みでいいので考え直してください」


と大きな声で言い放ったのであります。

いきなりそんなことをいわれた私は訳がわからず思わず、


 「はあ?」


と答えてしまったのですが、答えたあとになんのことかすぐにピーンときました。

でも、派遣先の担当者との交渉は別に本人がしてはいけないという決まりはありませんが、そのために派遣会社の担当営業がいるわけですし、こちらの要望はすでに担当営業に伝えてあるので、「土曜日は休みでいいから続けてくれ」といいはる管理者に、「その件はもうO塚さん(担当営業)に伝えてありますので……」とモゴモゴと口にすると、管理者に「ああ、下にそのO塚さんが来てますよ」とつまらなそうにいわれたので、そそくさと階下へと降りて行ったのであります。


 「あ、totsugekiさん、お忙しいところすいません」

 「いえ、いまなんか急に土曜日休みでいいっていわれたんですけど……」

 「あ、そうなんですよ。実はいま私が“totsugekiさんは4月いっぱいで契約を切りたい”とお伝えしましたら、“土曜日休んでもらってもかまわないから続けてほしい”といわれまして」

 「はあ」

 「ついでに5月の連休もきっちり休んでいいそうです」

 「ああ、そうですか。ずいぶんと大盤振る舞いですね(……なんか“休んでもいい”っていい方がものすごく気に障るけど)」

 「そうなんですよ」

 「土曜日は完全に休みでいいんですか?」

 「ええ、そうおっしゃってましたね」

 「……ふーん、そうですか」

 「それと5月の連休もきっちり休んでもらっていいそうです」

 「へー、そりゃすごい(そんなこといわれなくたって最初から休むつもりだったけど)。そんなに人いないんですか?」

 「……そうですね、私どものほうにも2人紹介してほしいというご依頼がきてるんですけど、ご紹介できるような方がいないんですよ」

 「人がいないってことですか?」

 「いえ、人はいるんですけど、レベルのほうが……」

 「あ、なるほど」

 「こちらはレベルが高い方でないと、ちょっとご紹介しにくいんですよね」

 「そんなことはないと思いますけど」

 「いえいえ、totsugekiさんをはじめ、こちらにはレベルが高い方ばかりをご紹介してますし、それに先方さんも“即戦力になる人を”とおっしゃられますからね」

 「ふーん、そんなもんですか。スキルはなくてもやる気と根性さえあれば大丈夫なような気もしますけど」

 「いやまあ、なかなか適当な方がいないというのが現状ですね」

 「ふーん、そうですか……で、ボクはどうすればいいんですか?」

 「いや、まあ決めるのはtotsugekiさんご本人なので、私のほうからはなんともいえませんが……」

 「ああ、そうですか。ボクとしては別にここにいようが、よそに行こうがどっちでもいいんですけどね。ただ……」

 「ただ……なんですか?」

 「ここにいるのってあんまりよくないような気がするんですよ」

 「そうですか……」

 「でも、まだ時間がありますから、もう少し検討させてもらえますか」

 「そうですね、こちらとしても先方さんのご要望がある以上、続けていただいたほうがよろしいかと思いますが、totsugekiさんのご都合もあると思いますのでもう少しご検討いただけるとよろしいかと思います」

 「わかりました」


といって別れたのでありますが、この時点で私はなにをいわれようと辞めるつもりでいたのでありました。