昨日は父を見舞いに


病院に行ってきたのであります。

1週間ぶりに会った父は顔のむくみも取れ、すっかり元気になっていました。

つうか、いまにも退院をしてしまいそうな勢いであります。

そして大嫌いな病院にいなくてはならないストレスからか、せっかく見舞いにきてくれた母にあいかわらず八つ当たりをしていました。


 「あのさ、ついこの前まで死にかけてたっていうのに、なんでそんなに目むいて怒ってるの? そうやって怒ってばっかりいると心臓によくないぞ」


とたしなめたものの、一向に聞く耳をもつ素振りがありません。

すると母が「いいの、いいの、さ、もう帰りましょ」というので、「……じゃあ、帰るわ」と病室をあとにしたのですが、母に「あんな死にそうな目にあったのになんでああなのかな?」とたずねると「あの人は前からずっとそうよ。たぶん死んでも治んないんじゃないの」といわれ、「ああ、そうかもしれんね」となにやら一抹の寂しさを覚えつつ相づちをうったのであります。

ですが、こうなるともう「頑固」というよりもたんに「人の話を聞かないバカ」というか、身の回りの世話をしてくれる母ちゃんに八つ当たりをしてもなんにもメリットがないだろうに、などと思ったりもするのですが、ここまでくるとたしかに父は、母のいうように死んでも治らない病にかかっていると考えるしかありません。


 「つうか、毎回あんなんじゃそりゃ見舞いに行く気もなくなるよな」


よく、歳をとるとわがままになるといいますが、多少のわがままであれば許容されるかもしれませんが、それが度を越してしまい、人の話を聞かなくなってしまったらもうおしまいです。

あんなにひどい目にあったにもかかわらず、父はこれからもああやって母に感謝もせず、謝りもせずに突っ張って生きていくのかと思うと気が滅入りますが、仕方がありません。

いっても聞かない人間につける薬はないのですから。