そして組版は動き出す
「いやだいやだ」といいながらも、いまの職場にも慣れ、当初のようなプレッシャーもなくなってきたのである。
いま思うと、トライアル期間ということで「こいつ、どれくらい根性あるかな」的なノリで過度にプレッシャーを与えられていたような気がしないでもないが、とにもかくにも無難に仕事をこなせるようになってきた。
しかし、いくら慣れたとはいえ、いつまでもいたいとはこれっぽっちも思っていない私は「ま、あと2〜3ヶ月もやればいいほうだな」などと考えていたのである。
そうしたら先日、管理者に急に真顔で「これをtotsugekiさんにやってほしい」といわれ、なにかと思ったら、毎月2回発行の小冊子を担当してほしいという。
つうか、担当してほしいもなにも急に「やれ」といわれたら、断りようがないと思うのだが、いきなりそのようなことをいわれたので、その場は「はぁ」と気のない返事だけしておいたのである。
そうしたら、その日の帰り際に前任者(一番古株の派遣社員で社員である管理者よりも長いらしい)から、「そういうことなんでよろしく」となにやらすっきりとした顔でいわれ、
「あ、契約切るんだ」
と、ぴーんときたのである。
つまり、彼(一番古株の派遣社員)はいままでずーっとほかのところに行きたかったのだけれども、この定期物を持っていたために次に行けなかった(私はてっきり好きでいるものだとばかり思っていたが、本人に聞いたところ、どうやらそうではなかったらしい。まあそうだよな)。
で、だらだらと契約を延長していたのだけれども、もうこんなところとはおさらばしたいとずーっと思っていた。
すると、そこに私が入ってきた。
「お!? こいつ、自分の足かせになっている定期物をなすりつけるにはちょうどいいカモ!?」
飛んで火にいるなんとかとはまさにこのことである。
……そして私がめでたくその大役を仰せつかったというわけだが、まあ定期物をなすりつけられようが、派遣社員が一人減ろうが、二人減ろうがまったくかまわないのだが(人数が少なくなると急激に仕事量が増えるからしんどいけどさ)、問題は私自身がどうするかである。
ま、どうするっていってもやるしかないんだけど、大事なのはそのあとどうするかだ。
ああ、なんだかめんどうくさいことになりそうな気がしますのう。
つか、もうなってるのか……。