期せずして


契約の延長が(私の知らないところで)決まってしまったらしい(というか、もう12月に入っちゃってるんだけどさ)。

ということは、これでまためでたく陸の孤島に最低でもあと一ヶ月間は通うことになってしまったわけだが、私個人としてはここに派遣されてきた当初から

 「次に行きたいなあ」

と思っているのである。

しかし、最初に派遣元からかなり強い口調で「最低半年間はやってほしい!!」といわれているので、気弱な私としては自分から「次に行きたい」と言い出すのはちょっと気が引けているのである(ものを書いているときは強気なんだけど、普段はけっこう弱気なのだ)。

なもんで、派遣先から「あいつ使えないからチェンジね」といってくれるのを心待ちにしているのだが、なぜか契約が延長される。

つうか、派遣社員という不安定な立場で次の仕事がある、もしくは決まっているというのは大変喜ばしいことなのだが、いまの派遣先で延長をされても素直に喜べない。

しかし、イヤでイヤで仕方がなかろうとも、とにかく毎日行ってさえいればお金になるので、最近は毎朝目が覚めるたびに「金だ、金だ」と自分に言い聞かせながら会社に来ているのである。

そういえば前にいた出版社で編集をやっていた定年間近のおじさんが常々、

 「あのね、totsugekiさん。君はまだ若いから毎日会社に来るのが楽しくてしょうがないと思うけど、ボクみたいに歳を取っちゃうとね、毎日金だ金だと思わないと会社に来れなくなっちゃうんだよ」

といっていたのを思い出した。

そうか、あのときのおじさんはいまの私と同じような気持ちだったのか……。

しかし私の場合、働くのを辞めてしまうと、その期間に比例して廃人同然になっていってしまうので、いやだいやだと文句をいいながらでも働き続けなければならない。

……私個人的には働くときはがーっと働き、休むときには思い切り休むというライフスタイルを理想としているのだが、人生というのはなかなか思い通りにいかないものですのう。

 「よし! じゃあ今日もお金を拾いに行きますか!!」

……なにかが違うような気がしてならない不惑の三十代。