[PC]実家のPCを直すために その三

復旧

2006年11月16日エントリーの「実家のPCを直すために その二」の続き。


e493:「これはHDがいっちゃってるね」

:「……そうすか」

e493:「そうなるとこのPCを復旧させるにはHDを交換して新しくOSを入れないといけないけれども……」

:「……(うぇえ〜? いまからそんなことはじめたらかなり時間かかっちゃいますよ!? おいらは実家のPCだからまだ我慢するけどe493さんは大丈夫なんかな?)」

e493:「……換えのHDある?」

:「(おお! e493さんはかなりやる気だ!!)はい、いくらでもあります」

e493:「……よしっ、じゃあやるか(と、自分に言い聞かせるように)」

:「え〜と、じゃあハードディスク、ハードディスクっと……」


と、お互いあまり気が乗らないという妙な雰囲気のまま、ある意味惰性でケースを開腹し、さくっとHDを交換したはいいものの、電源が入らなかったり、ジャンクのHDが認識されなかったり、案の定e493さんが「もうあきた」とかいいだしたりと、多少の紆余曲折はあったもののHDの交換とOSのインストールはさほど時間はかからずに終了したのである。

そして私がOSの新規設定に取りかかっている間に、e493さんは秘密兵器を使って交換した(壊れた)HDからデータをサルベージできるかを試していたのだが、やはりシステムが入っているパーテーションが認識されずサルベージは断念。

というか、あとでなにげなくHDを振ってみたら、「カラカラ」と乾いた音がしていたので、物理的になにかが壊れているのはまちがいないようだが、とにもかくにもこれでPCが起動するようになった。

しかし問題はこのあとで、その後膨大なパッチをダウンロードしてはインストール、インストールしては再起動という作業を延々と繰り返さねばならず、しかもHDが壊れたとなるとチップセット内蔵のグラフィックカードやLANカードにどんなものが使われているかがわからず、ドライバもどんなものがインストールされているのかが参照できない。

なもんで、e493さんが膨大なパッチをあてている間に、私は隣でNECのサイトでマシンのスペックを参照しつつ(というか、e493さんにそうしなさいといわれたのだ)、まずはLANカードのドライバを検索、ついでグラフィックカードのドライバを検索、続いてPCIカードのドライバを検索、検索、ひたすら検索。


:「グラフィックカードのドライバってこれでいいんですか?」

e493:「え〜? いいんじゃない? とりあえずインストールするからそれちょうだい」

:「ほい」

となぜかiBookでダウンロードしたドライバをUSBメモリでやりとりしつつ、淡々と作業をし続け、私が一通りドライバの検索を終えて一段落ついた後もe493さんは黙々とパッチをあて続けていたので、

 「あの〜、もう適当なところでいいですよ」

と声をかけたら、

 「……パッチはいま出されているものをちゃんとあてておかないとセキュリティはもちろん操作性にもかかわるから、ちゃんとやっとかないと」

と、とてもSEらしいセリフを宣われたのだが、私は「ふ〜ん、そんなもんなのかな。パッチがあたってても、あたってなくても使う人間(私の父)にはわからないのに、それでもこれだけ時間をかけてパッチをあてておくっていうのはえらいなあ」と思いつつ、「お疲れの一杯」を飲むために冷蔵庫からビールとつまみを出してきていたのであった。

で、最後はビールを飲みつつ(それでもe493さんはパッチをあて続けていたけど)、作業開始から約4時間ほどで作業は終わったのだが、今回私が一番強く思ったのは

●復旧作業というのは原因の切り分けが一番難しい

ということである。

なんでもそうだが、なにかが壊れた場合、それを修理するためにはどこが壊れていてなにが悪いのかを特定しなければならないわけだが、その部分を特定・判断するのが一番困難な作業なのである。

というか、逆に壊れている部分さえわかっていればそこを交換してしまえば復旧はできるわけだから、該当の部位さえ特定されていれば作業自体はさほど難しくはない(PCは精密機器などといっているがぶっちゃけ悪そうなところを手当たり次第に交換していけばいずれは復旧するのだ。むろん交換する代替品がなければ交換はできないが)。

となると、今回は「HDが壊れているから交換してOSの新規インストール」と一見、ただのPCおたくのおっさんが2人がかりでPCを復旧させたようにみえるが、そもそも「HDが壊れている」ことがわからなければ、「交換してOSの新規インストール」まではたどり着けないのだ。

そう考えると、今回の作業(OSが起動しないWindows PCの復旧作業)をやったことがないうえにWindowsに不慣れな私一人では「これはHDが壊れている」という特定はできなかっただろうし、もし特定できたとしてもかなりの時間と労力を要していたはず。

そう考えると「原因を切り分ける能力」もしくは「原因を切り分けられる能力」というのは時間と労力のムダを省き、限られたリソースを効率化して使うことができるようになるという、とてもすばらしい能力なのだ。

そしてそれを先天的に身につけている、または後天的に身につけることができたe493さんはすげえなあと思うとともに、いつかそのスキルを盗んでやろうとスキ(?)をうかがっているのだが、いかんせん一緒にいる時間が少ないので、ちと難しい。

なので、「原因を切り分ける能力」はe493さんに任せて、私は違う能力を身につけようと思っているのだが、やっぱり身につけるなら「原因を切り分ける能力を持っている人を見分ける能力」とか「自分のためになりそうな人とお友達になる能力」とか「自分が必要としている能力をもっている人をみつける能力」とかいいなあと思うのだけれども、どうだろう(って、途中までいい話だったのにこんなオチでいいのか?)。

最後に:復旧したPCを実家に持っていったら父母ともとても喜んでおりました。今回はお忙しいところお時間を割いていただき誠にありがとうございました。御礼申し上げます。