切り抜き居残り特訓


「切り抜きのスピードが遅い」

といわれたのである。ついでに「手が遅い」とか「時間がかかるわりに精度が悪い」ともいわれたのだが、まあそんなことはどうでもよろしい。

まあ、自分でも前からたいして早いとは思っていなかったので、口では一応「はい、すいません」と答えたのだが、ぶっちゃけ心のなかでは「ああ、そうですね」といった感じでいたのである。

なもんで、その場で切り抜きの注意事項をあれこれいわれたのだが,私がわかったようなわからないような返事しかしないので,「……こいつ開き直っちゃってるじゃん」といった感じで、その後は特になにもいわれなかったのだが、どうやら「もっと切り抜きを早くしてもらわないと困る」ということらしく、それから切り抜きばかりやらされているのである。

つうか、「おいら切り抜きは苦手なので,もっとほかの作業で勝負させてください!!」などというようなことを口にする気はまったくなく、「今日中にこれを切り抜いておいてください」といわれて、「……はい、わかりました」と答えてさっそく作業にとりかかったのである。

が、今日中にやっておけといわれたのはいいのだが,点数はそう多くはないものの、毛がもさもさした洋服(ファー付きとかいうやつ)やら鎖がじゃらじゃらついたアクセサリーの画像(当然ながら,鎖のなかもひとつひとつ切り抜かないといけない)ばかりがフォルダのなかにずらっと並んでいる。


 「……おいおい,こんなの今日中に終わるわけないじゃん」


と思いつつも、かなり必死にがんばってはみたのだが、やっぱり終わらず、みんなが帰ったあとも居残りで切り抜き。

つうか、ほかのオペレータを帰らせるのだったら,ちょっとくらい手伝わせてもいいんじゃないの? などとちらっと思ったりもしたのだけれども、お金をもらって切り抜きの練習ができるいい機会だと思って、けっこう一生懸命やったのである。

でも、いくらがんばろうがまじめにやろうが終わらないものは終わらないわけで,終電近くまでやったのだけれどもやっぱり終わりそうになかったので,最後のほうはかなりのハイペースでとばしたためにかなり荒い切り抜きに.

ま,けれども自分では納得はいかないものの,これくらいなら大丈夫だろうというくらいに仕上げ,ぎりぎりで自宅に帰る.

ううむ、仕事というのはいくら一生懸命やろうが,どれだけまじめにやろうが,結果がともなわなければ意味がないのですなあ,などと思いつつ,メールチェックもせずに眠りに就くのでありました.

にゃんだかなあ。