[就職活動]そして面接へ……
本日は昨日のエントリー「[就職活動]ビルを探して三千里(d:id:totsugeki:20060627)」の続き.
約束の時間より10分も遅れて到着した私は,総務の人らしき女性(40代後半くらい)に個室に通され,「右奥の席におかけになってお待ちください」といわれたのだが,ぜいぜいと肩で息をしつつ,全身汗だくでいまだに息を整えるのに必死で椅子に座ることもできないでいる私をみかねて,その方は無言で部屋の冷房をかなり強めにしてから「履歴書をお預かりいたします」というので,私が履歴書と職務経歴書をおずおずと差し出すと,それを無表情で受け取って「少々お待ちください」といって部屋を出ていった.
そして待つこと5分.
すると,さきほどの女性と年の頃は一緒だけれども,また違う女性が私の履歴書を持って部屋に入ってきた.
女性:「どうもこんにちは」
私:「どうもはじめまして.本日はよろしくお願いいたします」
女性:「どうぞ,おかけください」
私:「はい,失礼いたします」
女性:「……ちょっと迷われましたか?」
私:「はい,ずいぶん迷いまして…….遅れてしまい,どうもすいませんでした」
女性:「いえ,そんなにたいしたことじゃないですよ.ただちょっと“まだ来ないのかな〜”って思っただけですから」
私:「そうですか,どうもすいません」
なんてやり取りを最初に交わしたのだが,表情から察するにどうやら本当にたいして気にしていない様子.
しかし本来であれば,まずは遅れた理由を説明しろといわれ,その次に「前の会社では遅刻は多かったのか?」とか「突発休はどのくらいしたことはあるか?」とか「勤務態度はよかったのか?」みたいなことをねちねちと聞かれ,最後に「そういうことをされるとこの後の予定が狂うんだよね〜」みたいな嫌みのひとつもいわれ,それからやっと本題に入るはず.
だと,私は思っていた.
が,私の目の前に座っている女性は,いわゆる普通の面接の冒頭で聞かされるような「当社の社風は……」とか「当社の売り上げは……」などといったようなつまらない前置きなどが一切なく,いきなり「Quarkはどのくらい使っていたのか?」とか「Illustratorはどのくらい使えるのか?」などと実務のことばかり聞いてくる.
しかもそのうちにこちらから聞いてもいないのに「この会社は営業のほうが制作よりも強い」とか「この会社の役員はPCの知識がまったくないし,勉強しようともしない」とか「社長は勉強熱心でいい人なんだけど,いくら説明しても理解してくれない」というような会社の実情をいきなりぶっちゃけはじめた.
なもんで,私はうんうんと肯きながら「どこもみんな一緒ですね」などと同意の言葉を口にしつつ,
「おいら面接を受けに来たのに,これじゃなんかお悩み相談みたいだな……」
などと思ったりもしたのだが,そんなことよりも建前や駆け引きなどが一切ないトークに
こりゃ,確実に制作の責任者の人だな.これは好都合
とさきほどまで「次の面接はどうしようかな」というような算段をしていたのを破棄し,かなりやる気を回復.
というのも,本来であれば遅刻してきたことによってマイナスの状態から始まるはずだった面接がややマイナス,いやこの雰囲気から察するともしかしてプラスマイナス0の状態から始まっているかも!! と,がぜんやる気になったのである.
ちなみに面接の流れとしては
【書類選考】
イーキャリアよりご応募ください。キャリアーシートで書類選考を行います。
書類選考後メールにて面接に日程をご連絡いたします。
↓
【一次面接】
人事責任者と配属先部署責任者と1時間程面接を行います。
簡単な筆記試験も予定しております。
↓
【二次面接】
本社にて役員と面接を行います。
↓
【内 定】
となっており,私はあらかじめ上記のような流れで面接が進むことを知っていたので,遅刻をしたことにより,この「人事責任者」とかいう人にあれやこれやいらぬことを突っ込まれるんだろうなあと恐々としていたのだが,今回はなぜか面接の場に「配属先部署責任者」しかいなかったのはとてもラッキーだった.
が,いまよくよく考えてみるとこの「人事責任者」さまは私が面接に10分も遅れてきたのであきれて出席しなかったという可能性もあるし,そういえば「簡単な筆記試験」というようなものはなにもやらなかったというのは,もしかして試験するのを忘れちゃったのかな? ということは,そういう適当な会社なのか? でも予定って書いてあるしなあ,う〜むなにやら激しく引っかかりますのう……などと裏の裏を読んだりしてみたりしてみたわけだが,過ぎたことをいくら考えても仕方ない.
きっと「人事責任者」さまは急に都合が悪くなったのだ.そういえば「いま役員はボーナスの査定で忙しい」みたいなこともいってたしな.ここは前向きにとらえることにしようと自分で自分に言い聞かせる.
でもって面接自体は40分ほどで終わり,というかぶっちゃけトークが次第にエスカレートしてきて,「私はいま制作の課長で,会社から課長代理を育てろっていわれてるんだけど,みんなどんぐりの背比べで優秀な人材がなかなかいない」とか「社風が実力主義っていっても制作はあんまり関係ないからたいして期待しないほうがいい」とか,それって面接に来た人間に話すことじゃないんじゃないの? と思われるようなとても興味深い話をたくさんうかがわせていただいたのだが,あまりにもぶっちゃけ過ぎてこれ以上ぶっちゃけてしまうと私が入社する気がゼロになってしまいそうだったのと,だんだんと話すことがなくなってきてしまったので,きりのいいところで終了.
そして最後に
女性:「……じゃあ,次は二次面接に進んでいただき,部長と面接をしていただきます」
私:「え? 二次面接って一次面接の結果で判断されて進むんじゃないんですか?」
女性:「いえ,一次面接の次に二次面接を受けてもらうみたいですよ」
私:「あ,そうなんですか(って,なんで他人事みたいなんだ?)」
女性:「ええ,といってもまあ,次の面接で部長に気に入られればほとんど採用みたいなものですから」
私:「へ?」
女性:「いくら私が優秀な人材だって推しても,次の面接で部長がダメっていったらダメですしね」
私:「……」
女性:「ですから,まあ次の面接で部長に気に入られるようにがんばってください」
私:「……はい,わかりました.がんばってみます」
女性:「本日はどうもお疲れさまでした」
私:「本日はお忙しいところ誠にありがとうございました」
というような会話を交わしたのだが,最後の最後までものすごいぶっちゃけだったなあと思いながら,「では,失礼いたします」といってその場を辞し,外に歩き出したのであった.