[blog]病は気から その3


本日はスクールもなく,バイトもお休み.

なので,朝からネットで調べものをしたりしつつ,2006年5月12日エントリーの「[blog]病は気から その2(d:id:totsugeki:20060512)」の続きを書いてみたりする.


その当時の私は毎日残業続きで,そのうえ休日も出勤しないと納期に間に合わないような状態が続き,すっかり体調を崩してしまっていたわけだが,それでもDTPができる人間が社内に自分一人しかいなかったので会社を休むわけにもいかず,2ヵ月間も原因不明の微熱と咳を抱えたまま,社内の人間には結核を疑われながらも辛うじて仕事をこなしていたのである.

そんななか,なかばむりやり診療所に精密検査を受けにいかされたのだが,結果はシロ.まったくの健康体であった.

そしてその精密検査を受けた日の帰りの電車のなかで微熱と睡眠不足のせいでもうろうとしているなか,なんで私の具合が悪いのかを考えてみたのである(それまではとにかく仕事を終わらせることしか頭のなかになかった).

その結果,


 具合が悪いのに会社を休めないから具合がよくならない


のだという結論に達したのだが,そもそもなんで会社を休めないのかというと,


 社内にDTP(で組版)ができる人間がいない


からである.では,なんで社内に人がいないのかというと,


 弱小編集プロダクションだから新たに人を雇う余裕がない


からである.ここまではさほど難しくない.

となると,私が会社を休んで体調を回復するためには

 1.会社に人を入れてもらう
 2.外注に仕事を頼む
 3.会社を辞める

の3つの選択肢があることになる.

しかし,その当時の私は社会人になったばかりの青二才で,頭の中で論理的にものを考えることはできたが,それを口に出して他人に説明することができず,非常に歯がゆい思いをしていたのだ.

で,私が体調を悪くする以前から,社長には「会社に人を入れてくれ」とか「外注を使わせてくれ」という申し入れをしていたのだが,「人を入れたいのはやまやまなんだけど,売り上げが落ちているのでちょっと勘弁してほしい……」とか「外注を使うとなると組版の質が落ちるし,それに外注を頼むのに適当なところがないんだよね……」などと,私もそれに対して突っ込む余裕も元気もなく,社長にのらりくらりとかわされ続けていたのである.

しかし,いま思うと私たちには「売り上げが落ちているから人が入れられない」などといいながらも「うちはデザインが弱いのでデザイン部に新卒を1人入れます」とか「いまうちのデザイナーは手がいっぱいなのでこの表紙はデザイナーに頼もう」などというようなわけのわからんことをしているうちにこの編集プロダクションは縮小の憂き目に会い,社員が全員解雇されてしまったわけだが,そんなことはどうでもいい.

まあ,つまりはそんな理由で私は,1.の「会社に人を入れてもらう」と,2.の「外注に仕事を頼む」という選択肢がこの会社では最初っから存在していないことを知っていた.

となると,残された選択肢は,3.の「会社を辞める」しかなかったのだが,そんなことは体調を悪くするずっと前から知っていたのである.

しかし,その当時の私は編集もDTPもちょっとかじった程度の中途半端なスキルしか身につけておらず,アホで無能でそのうえ営業(というかお使い)もろくにできない社長がトップの弱小編集プロダクションとはいえ,自分が本当に尊敬できるいわゆる編集のプロフェッショナルがおり,その人たちに仕事を教えてもらえる,または一緒の仕事に携われるというようなチャンスはそうそうないということも知っていた.

だもんだから,


 いまはつらくても石にかじりつく思いで仕事を覚えろ!! そうすれば少なくとも編集のプロにはなれる!!


と思う一方で,


 でも,体を壊して仕事ができなくなったらどうする? 元も子もないぞ!?


というジレンマに悩まされるはめになってしまったのである.

しかしながら,なんらかの仕事に就いて給料をもらっていないと生活をしていけない以上,遅かれ早かれこういう問題に直面するとは思っていたが,まさかこんな形で運命の選択を迫られるとは思っていなかったので,「ああ,おいらはどうすればいいんだ……」と寝ても覚めてもこの問題を考え続けたのだが,長期にわたる体調不良により,身体・精神ともに衰弱していた私は誰に相談することもなく,とにかく楽になりたい一心で会社を辞めることを決意したのであった.

つづく