[テニス]クリスマスイブイブはテニス


いや,目覚ましはちゃんと鳴ったのである.

だから目覚ましは悪くない.

でも,気がついたら自宅を出ないといけない時間をふつうに20分も過ぎてしまっていたのである.

う〜む,予定ではこんなはずではなかったのだが,やはり気分はすっきりしていたとしても仕事の疲れはすぐには取れないものなのだな…….

などとプラットフォームで電車を待っているときも冷静に分析をしていたのだが,本当はものすごく焦っていたのである.

そして休日の早朝などというのは電車がつぎつぎに来るわけもなく,内心ものすごくイライラしながら電車を待っていたのだが,やっとこ電車が来たと思ったら間が悪いことに清澄白河どまり.ふざけろ.

清澄白河というのは押上の2つ手前の駅なので,押上まで行くには清澄白河で押上以降まで行く次の電車に乗り換えなければならないのだ.

ったく,この田園都市線というのはいつも急いでるときや遅刻しそうなときにかぎって半蔵門どまりの電車が来たり,信号故障で大幅にダイヤが乱れていたりとかするのである.だもんだから,それを見越して早めに出たりするとトンでもないくらい早い時間に着いてしまったりする,どうにもこうにも間の悪い電車なのである.

というようなことを書いていると「そんな文句をいっている間にちゃんと起きろよ」といわれそうなので本題に戻る.

で,まずは気分を落ち着かせるためにiPodを取り出して音楽を聞きながら,このあとどうすれば一番よいかの次善策をイメージして,しっかりと頭のなかに焼き付ける.

それから仕方なく清澄白河までしか行かない電車に乗り込み,清澄白河で「押上まで歩いていっちゃおうかなあ……」などと本気で考えながら,ぼけーっと次の電車を待つ.そうしているうちにやっと来た電車に乗り込み,今度は押上で京成線に乗り換えたのだが,これまた電車がなかなか来ず,その間とても不安だったので何度も何度も青砥が押上から何番目なのかを確認する.

そして入線してきた電車に乗り込み,やっとこ青砥に着いたのだが,そうしたら今度は自分で画面をみながら書き写した地図を頼りに目的地に向かってダッシュ

本当であれば朝焼けのなかに映える中川を横目にみながら


 「ああ,なんて空気が清々しいんだ.朝日がまぶしいぜ」


なんてことを余裕があれば考えたと思うのだが,ちょっと走っただけで息も絶え絶えの私にはそんな感慨にひたっている余裕はこれっぽっちもなかった.

だが,そんなこんなでテニスコートにたどり着くと,O澤さんを含めた3人の方がすでにコートに入ってウォームアップをしていた.


 「……ゼィゼィ,おはようございます」

 O澤さん「おお,おはよう.道わかりづらかった?」

 「……いえ,すぐにわかりましたよ」

 O澤さん「あっ,そう.そりゃよかった.じゃあ,さっそくで悪いんだけど……」

 「……?」

 O澤さん「コートに入ってもらってもいいかな?」

 「……はあ」


まずはペアでストローク,ボレーをこなし,続いてゲーム形式での練習をし,それからダブルスでゲームをしたのだが,みなさんゲーム慣れしていてムダにうまいのと,私が久しぶりのテニスですっかり腕がなまっているのと,日頃の運動不足がたたって,コートにたどり着いてから1時間が経過するころには私はすでに疲労困憊だったのだが,ほかに参加されていたみなさんはどうみても40〜50代のおっさんなのだが,毎週のようにテニスをやっているせいか


 「若いから休憩なんかしなくても大丈夫だよね?」


などといわれ,休憩もせずにゲームをやり続けていたせいで(どうやらこちらではそれが普通らしい),最後のほうは意識がなくなりかけていたのでほとんど無意識でボールを打っていたのだが,それでも最終ゲームでは残されていた力を振り絞ってゲームを取り,なんとか次も誘ってもらえるくらいには体裁は取り繕ったと思うのだが,みなさんにどう思われたのかはよくわからん.


 O澤さん「おつかれさま」

 「……どうもありがとうざいました」

 O澤さん「どう? こっちのレベルは? やっていけそう?」

 「いやあ,みなさん上手ですね.ついていくのがやっとですよ」

 O澤さん「あっ,そう.……そういえばさあ,このあと2時間ていうのがあるんだけど行く?」

 「(うぇ?!)え? ……いや,人数が足りないっていうんであれば行きますよ」

 O澤さん「あっ,そう.じゃあ連絡してみるわ」

 「(そんなのに行ったら体がボロボロになっちゃうんじゃないかなあ……)」

 O澤さん「おっ!! 大丈夫だって」

 「あっ,そうすか(大丈夫か? 自分?)」

 O澤さん「いや,向こうのテニスはさっきの人たちと違ってレベルが低いから軽く行っても大丈夫だよ」

 「あっ,そうなんですか(ホッ)」

 O澤さん「ま,明日もあるしね」

 「ああ,そういえばそうでしたね」

 O澤さん「……明日はね,今日よりもレベル高いよ」

 「え? そうなんですか?」

 O澤さん「でも,これから行くところはファミリーテニスだから明日の肩慣らしっつーことで軽く行こう」

 「そうですね」

 O澤さん「じゃあ,とりあえずメシでも食いに行こうか」

 「はい」


で,なぜかそのあと2人で自転車に乗ってコートに行き,ファミリーテニスに混ざってきたのだが,たしかに参加しているメンバーをみるかぎりではファミリーテニスなんである.

だが,みなさんムダにゲーム慣れしているせいでちょっとでも甘い球を打ったりすると,練習のときには「このおっさんたいしてうまくないな」な〜んて思っていたおっさんにものすごい角度のボレーや火の出るようなスマッシュを決められたりして,


 継続は力なり


というのをまざまざと実感する.

そしてファミリーテニスといえどもかなりハイレベルなファミリーテニスにもまれて,ヘロヘロになって自宅に帰ってきたのだが,あんまりにも急にテニスをやったもんだからものすごくくたびれてしまったので,メールチェックをせずに寝たのであった.

つうか,明日も早起きしてテニスに行かないといけないんだよな…….