[会社]E代が会社を辞めるらしい


先週はいろいろとイベントやアクシデントが目白押しだったのだが、そのなかで一番のニュースがこれ。

実は先週の水曜日(12/14)に私は会社から水道橋を抜けて九段下方面に向かって歩いていたのだが、そうしたら酒を一杯ひっかけて帰ろうと飲み屋に向かっていた常務と三崎神社の前でばったり会ってしまったのである。


 常務「お!? totsugeki!! お前こんなところでなにしてるんだ!?」

 「え? あ? いや、帰りは九段下まで歩いているものですから。常務のほうこそなにしてるんですか?」

 常務「オレはそこで一杯ひっかけてから帰ろうと思ってな」

 「あ、そうなんですか」

 常務「え〜、それにしてもお前、九段下まで歩くんじゃ遠いだろう?」

 「いや、そうでもないですけど」

 常務「そうか。オレはそこでちょこっと飲んで行くけど、お前はどうする?」

 「いや、ボクは別にどちらでもいいですけど……」

 常務「そうか。じゃあ、ちょっとつきあえ」

 「はあ」


という会話があって、私はもうすぐ会社を辞める身なので別につきあう必要もなかったのだが、その前に常務にちょっと確認しておきたいことがあったので、それをどのタイミングでいったら一番効果的かをすばやく打算し、「まあ、ここで会ったというのもなにかの縁かもしれないから確認しておくか。じゃあどうやって切りだそうかな」などと会話の組み立てを考えつつ、常務のあとについて店に入ったのである。


 「いやあ、なんだか期待してもらってたのに、なんのお役に立てませんですいませんでした」

 常務「ああ、まったくだよ。お前が辞めるっていってからこっちは大変だよ」

 「いや〜、本当にすいません」

 常務「ええと、お前だろう、●●●(K主任のフルネーム)だろう、H川だろう……」

 「え? H川も辞めるんですか?」

 常務「ああ」

 「え、H川って、どっちのH川ですか?」

 常務「ん? ええと女性のE代さんのほうだな」

 「え? E代さんも辞めるんですか?」

 常務「ああ、12月のはじめに話があってな」

 「……なんでこの忙しいときに辞めるなんていうんですかね?」

 常務「オレもよくわからん。おかげでこっちは頭が痛いよ」

 「あらら、それじゃあ頭も痛くなりますね」

 常務「まったくだよ。みんなお前が悪いんだぞ」

 「いや、ボクが辞めるっていったのは10月ですよ。なんにも関係ないじゃないですか」

 常務「いや、お前が辞めるなんていうからだ。み〜んなお前のせいだ」

 「でも、それじゃあMacのほうは本当に大変ですね」

 常務「そうなんだよ。E代さんが辞めるとH川とH部ともう一人この前入った新人しか残らないからな」

 「でも、それじゃあどう考えても仕事は回らないんじゃないですか?」

 常務「ああ、だからこっちは頭が痛いんだよ。このメンバーじゃどう考えてもH川の負担が大きくなるのが目に見えてるからな」

 「ふ〜ん、まあそうですね。H川がどういうふうに考えているのかはわかりませんが、それじゃあ時間の問題でしょうね」

 常務「まったく、みんなお前のせいだぞ」

 「いや、みんな辞めていっちゃうのはボクがどうこうとかいう問題じゃないですよ」

 常務「……そういえばH部さんはどうだ?」

 「いやあ、そんなに悪くはないと思いますよ」

 常務「そうか、それだと助かるんだけどな」

 「でも3人しかいないんじゃ、そのうちの誰かが辞めちゃったらどうにもならなくなるんじゃないですか?」

 常務「そうなんだよな〜。入社しときは未経験でも3年もするとみんな辞めていっちゃうんだよ」

 「だからそれは前にも会社のほうに問題があるんだっていったじゃないですか」

 常務「うちは養成所じゃないんだっつーの」

 「……それはなんでかっていうと結局、会社に魅力がないからですよ」

 常務「まあそうなんだろうな。でもオレにはなにが問題でみんなが辞めていくのかさっぱり理由がわからん」

 「ん〜、まあ問題はいろいろとあると思いますけどね」

 常務「ああ、お前はもう会社を辞める人間だろ? だから今日はこの場で遠慮なく意見をいってくれ」

 「ん〜? ボクは前からいいたいことはいっているつもりですけどね」

 常務「まあ、そういわずに今日はいいたいことをいってくれ。頼むよ!!」

 「……」


な〜んて会話を交わしていたのだが、意見を聞こうという姿勢があるのはとても評価できるものの、こちらがいっていることがほとんど理解できないというのは致命的である。

いや、正確にはこちらがいっていることを理解できないというのはまちがいで、本当はこちらのいっていることを


 理解する気がまったくない


というのが正しいのだが、それをどうにかして理解させるようにするにはどうすればいいかというと、残る手段は


 ひたすら反復していい続ける


しかないのだが、「これぞまさに教育だ!!」などと思いつつ、私はこの会社でそれを実践するつもりはさらさらないのだが。

まあ、幹部だからといってけっして物わかりがよいわけではなく、逆に印刷所の幹部なんかになる連中というのはたんに年功序列で入社した順番に幹部になるだけなので、非常に物わかりが悪い輩が多いのである。だから本来であればそういう人間はすべて教育対象なので、厳しく教育しないといけないのである。

ということは新入社員を教育しつつ、幹部も教育し、ついでに社長も教育すれば完璧だが、私にそんな余裕はない。

そういえば私が編集プロダクションにいたときに編集を教えてくれた方は、頭が固いうえにすこぶる物わかりの悪かった社長に毎日毎日夜遅くまで、熱心に説明をしていたっけなあ……。

などということを思い出すに、私は会社を変えようとか変えたいとか口ではいっているものの、本当に会社を変えようというような熱意が絶対的に足りないのだろうなあなどと思いつつ、「E代が辞めるのはどう考えてもH部のせいじゃないのか?」などと勘ぐってみたりするのだが、今度機会があったら本人に聞いてみるつもり。

たぶんよっぽどの事情があるのだとは思うのだけれども……真相はいかに。