[会社]新入社員から事情聴取をする


昨日のエントリー(2005年10月12日「[会社]どうやらやっぱり引き継ぎをするらしい」)の続き。

私たち3人は引き継ぎの打ち合わせをするために別室に移動したのであった……。


 E代「さあ、打ち合わせをはじめましょう」

 「……はあ」

 新人「はい、よろしくお願いします」

 E代「じゃあ、お互いの自己紹介から……」

 「……はあ、どうもtotsugekiです」

 新人「はい、H部といいます。よろしくお願いします」

 「はあ、よろしく……」

 E代「じゃあ、まずはtotsugekiさんのほうから……」

 「……はあ。じゃあ、とりあえず2〜3質問をさせてもらいたいんですけど」

 新人「はい」

 「いままでに雑誌とか担当したことあります?」

 新人「はい、いままで雑誌を担当してました」

 「ああ、そうなんですか。じゃあ4色を使用したドキュメントとかの作成は?」

 新人「はい、あります」

 「あ、そうですか。じゃあ2色も問題ないですね」

 新人「あ、はい。……いえ、あの、4色じゃなくて2色でした」

 「へ? なにが?」

 新人「いままでやってた雑誌です」

 「は?」

 E代「4色は作成したことはないってこと?」

 新人「はい、いままでやっていたのは2色でした」

 「ああ、そうですか。別にどっちでもいいんですけね。でも、いままで雑誌をやってたんですよね?」

 新人「はい、やってはいましたけど、作業はみんなで分担していましたから……」

 「へ? それってもしかしてブロックごとにしか作業をしたことないんじゃ……」

 新人「はい、自分はだいたい4〜5ページくらいを担当していました」

 「じゃあ、書籍とか雑誌を自分で1冊仕上げたことありますか?」

 新人「いえ、自分はやったことありません」

 「ああ、そうなんですか。この月刊誌って少ないときは80ページくらいで、多いときは100ページくらいあるんですよ」

 新人「いや、自分はちょっとやったことないんで……」

 「ああ、そうですか。それはかなり大変そうですねえ……」


で、そのあとも彼女を質問責めにして、いろいろと情報を引き出したのだが、その結果わかったのは

 ・前の会社では雑誌を担当していた
 ・でも担当していたのは見開き4ページ
 ・ページのレイアウトはお任せだったので自分で考えた
 ・表組はIllustratorで作成
 ・仕上がりはデータ入校だったのでPSファイルの書き出しや面付けはしたことがない
 ・前の仕事は印刷所のなかの制作部門だった
 ・DTPの経験は6年ある

ということで、どちらかというと大量にページを組んだり、大量に表組を作成したりというよりもデザインのほうが得意らしい。

……まあそうだろうねえ。そうだと思っていたよ。自慢じゃないが私はいままで自分より組版が得意だという人間にあったことがないもの(お前はそれしかできないだろうという突っ込みが聞こえてきそうだが)。

この話を聞いて私はすぐに彼女は雑誌を担当していたという経歴だけで採用されたのだろうとぴんときたのだが、このアホな会社は彼女がそれまでしていた仕事の内容もちゃんと聞かずにたんに雑誌経験者ということで短絡的に決めてしまったのだろうなあ。

ま、そういう人間が入ってくるのは想定の範囲内だったので別に驚きもしなかったのだが、DTPの経験が6年もあるってことはキャリア自体は私とたいして変わらないじゃんかと思いつつ、世の中に優秀な人間はたくさんいるにもかかわらず、ダメな会社が採用する人間のなかにはやはり優秀な人間というのはいないのですなあといまさらながらがっかりしたりもしたのだが、これは決して彼女が悪いわけではない。

それに彼女は新しい会社に入ったばかりで不安と期待で胸をいっぱいにしながらも、これからこの会社で仕事をしていかなければならないのである。彼女のこの会社でのキャリアはいまだ始まっておらず、この会社でいろんなスキルを身につけてステップアップし、未来への展望が開ける可能性があるのだ。私にはこの会社での未来はないからといってそれを壊す資格はないのであるな。

……こんなアホな会社にいつまでいるかは知らないけれどもさ(ニヤリ)。

そんなこんなで気を取り直した私の最初の仕事は、彼女に「月刊誌の暑苦しさ」と「ページものの組版の大変さ」を教えることだったのだが、最初からあまりおどかしたら悪いかなと思って控えめに話そうと思っていたのだが、話し出したらついつい熱が入ってしまい、気がついたら約1時間に渡ってえんえんと話しこみ、最後はE代に「……totsugekiさん。もうそのへんで勘弁してあげて」と遮られてしまう始末。

ありゃりゃ、ちょっとおどかしすぎちゃったかなと思ったら、案の定彼女は「自分はみんなで手分けしてやるという話しか聞いていない」とか「自分にはこれ(月刊誌)をやっていく自信がありません」とか「totsugekiさんはなんでこの会社を辞めるんですか?」とかいうセリフを繰り返し、まさに


 ガクガクブルブル


状態。

あらら、おじさんちょっと言い過ぎちゃったかもとちょっぴり反省したものの、なにをいっても彼女はうなされたように「自分には無理です」「自分には無理です」と繰り返すのみで、入社2日目にして出社拒否をしそうな勢いだったので、仕方なくE代と2人で「あなたがまちがえてても責任はないから大丈夫」とか「一人でできないのは当たり前だから、みんなで分担してやりましょう」とか「私なんかもっと適当だから大丈夫よ」(そんなんでいいのか?)などとなだめすかし、とりあえず前向きにやるだけはやろうということで手打ちをする。

でも、私としてはもうちょっとおどかして話をしておきたかったのだが、なんか知らんがドブチョーが私たちが打ち合わせをしている部屋に意味もなくちょろちょろとやってきては様子をうかがったりしていて気持ち悪いので、ひととおり話が終わったらそそくさとお開きに。

いやあ〜、それにしてもQuarkXPressのドキュメントを一目みただけですべてを理解してしまうような人間がこんな会社に来るとは思っていなかったが、前途は多難ですのう。

つうわけで、やる気のない仮面会社員の不毛な闘いはまだまだ続くのであった……。