[会社]どうやらやっぱり引き継ぎをするらしい


あまりにもヒマなのと、やつらへの嫌がらせのために本日は休もうかと思っていたのだが、朝なぜか会社に間に合いそうな時間に目が覚めてしまったのと、どうしようかなと思いつつコタローをなでていたらちょっぴり気分がよくなってきたので会社に行くことにする。

でも、あんまりにものんびりと仕度をしていたら、10分ほど遅刻をしてしまったのだが、なんらわびれる様子もなく「へん!! 今日も来てやったぜ」といわんばかりの態度でタイムカードを押し、マシンを起動して堂々とメールチェックをはじめると、待ってましたとばかりにドブチョーが話しかけてきた。


 ドブ「totsugeki君」

 「はあ、なにか?」

 ドブ「totsugeki君は10月15日付けで辞めることになってるでしょう?」

 「はあ」

 ドブ「いま常務が出張でいないからかわりに私からいっておいてくれっていわれたんだけど」

 「はあ」

 ドブ「月刊誌の下版が21日じゃない? だから、少なくとも21日までは来てもらいたいんだけど」

 「はあ?」

 ドブ「いや、常務が引き継ぎが終わるまでは余裕をみてくれるっていってたから」

 「はあ、たしかにそうはいいましたけど」

 ドブ「だから、とりあえずそれまで来て下版さえしてもらえばあとはもう来なくていいから」

 「はあ? 別に来るのは構いませんけど、下版したら来なくていいっていうのはあまりにも勝手なんじゃないですか?」

 ドブ「いや、だってtotsugeki君が会社に来たくないっていうから……」

 「別にそんなこといってませんよ」

 ドブ「だって辞めたくて仕方がないんでしょう?」

 「(それは誰のせいなんだ?)別にボクも最初から下版までは来ようとは思ってましたけど、それ……」

 ドブ「そう、じゃあそれで決まりね」

 「……」

 ドブ「E代さん totsugeki君、下版まで来てくれるって!!」

 E代「……」

 「つうか別に来るのは構わないんですけど、ボクは誰に引き継ぎをすればいいんですか?」

 ドブ「ああ、そうね。それは新しく入った彼女にしてあげて」

 「ああ、そうですか。じゃあ月刊誌は彼女がやるんですね?」

 ドブ「ええ、ちゃんと話はしてあるから」

 E代「(それを待っていましたとばかりに)それでしたら、さっそく3人で打ち合わせをしましょう!!」

 「……はあ、そうですね」

 E代「さあ、早く行きましょう!!」

 「……はあ」

 E代「さあ、さあ!!」

妙に張り切っているE代に急かされて私と新入社員の女性は別室に移動し、仕事の引き継ぎについて熱っぽく打ち合わせをしたのだが、長くなりそうなのでその話はまた明日。

それにしても自分本意な人間というのは本当に自分の都合しか頭のなかにないんですのう。普通の神経の人間だったら「下版したらもう来なくていいから」なんてセリフは絶対にいえないと思うのだが,そういうことを平気でいってしまうような厚顔無恥な人間が相手だと交渉どころか話し合いにもなりまへん.

というか,私には自分の都合しか考えていなくて本当にそれしか口にしないような人間が世の中にいること自体が信じられないのだが,得てしてそういう人間というのは思考がすごく単純だから,自分の都合にマッチしていると錯覚させるように言葉巧みにうまくはめてしまえば,こちらの意図したとおりのことをいわせたり,やらせたりするのは容易いのだろうが,少なくともこのアホにはそれをする必要もないし,価値もない.

そもそも私はそういう人間とは一切口を聞きたくないと思っているのだが,世の中にはそういう人間のほうが圧倒的に多いというのは困ったものである.

しかし,不毛な会社にいる不毛な人間とする会話というのはやはり不毛なんですのう.これじゃあ「酒と猫と組版の日々」じゃなくて「酒と猫と不毛な日々」じゃないかと思ったりしつつ,不毛な闘いはまだまだ続くのであった…….