[iPod]iPodを修理する


といっても、当然、私のiPodではない。

会社で私の左斜め後ろに座っているK主任(主任は敬称)の所有物である(つまりE代の右隣ね)。

現象としては、iPod上部についているIEEE1394コネクタがまるで抜ける直前の歯のようにグラグラと動いてしまっており、IEEE1394ケーブルでコンピューターと接続しても充電ができないとのこと。角度によってはときどき接触したり、しなかったりするそうだが、原因はすでにわかっており、IEEE1394コネクタを基盤に留めている部分のハンダ(4カ所)が取れてしまい、IEEE1394の「足」の部分が基盤から外れてしまっているのである。

実は半年前ほどにも同様の現象が起こったので、冷や汗をかきながらiPodを開腹して、おっかなびっくり修理をしたのだが、どうやら前回ハンダ付けをしたところがまた取れてしまったらしい。

ちなみにAppleのサイトで調べてみると、

iPod のモデルを区別する
http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=61688-ja


物はページの一番下のiPod (5 GB Scroll Wheel)なので、発表時期は2001年10月。本人に確認するとiPodが発表されてすぐに購入したそうなので、かれこれ4年近く使用していることになるが、いくら大事に使用していたとしてもこれだけ長期間使用しているとバッテリーが消耗してしまって、使用不能の状態になってしまい、ほとんどの人は買い換えるらしい(バッテリー交換をすれば話は別だが)。

聞くところによると、このiPodも毎日フルに充電をしても一日で電池がなくなってしまい、毎日充電をしないと使えないとのことだったので、


 「だったら、ついでに充電池も変えようよ」

 K「そんなお金はない!!」

 「だってさあ、この部分(コネクタ)は弱いから直してもまた壊れるよ?」

 K「それと充電池を新しくするのとなんの関係があるのさ」

 「充電池が新しくなれば充電する回数が減るからコネクタにケーブルを挿す回数が減るじゃん」

 K「だから?」

 「そうすれば必然的にコネクタがハンダ付けされている部分の耐用時間が増える」

 K「難しいこといってないでtotsugeki君はとにかく直してくれればいいんだよ」

 「じゃあ直すから、これからはここ(IEEE1394コネクタ)にケーブル挿しっぱなしで使ってよ」

 K「なんで?」

 「そうすれば多少は壊れにくくなる はず」

 K「やだよ。かっこわるいじゃん!!」

 「ボクはかなりファッショナブルだと思うけど」

 K「そんなの絶対にイヤだ!!」

 「いいじゃん、周りにみえないようにすれば」

 K「だから、それがイヤだっていってんの!!」

 「じゃあ、いいよ。取れないようにハンダでくっつけちゃうから」

 K「あ、そんなことしたら賠償金払ってもらうからね」

 「……賠償金っていうか、修理代とかもらってないんだからお金がほしいのはこっちなんですけど」

 K「いいから早く直してよ。ボクは音楽がない生活に耐えられない体なんです!!」

 「そんなことはボクの知ったことではない」

 K「あうう〜、お願いします〜〜」

 「……へえへえ。直せばいいんでしょ。まったくお子ちゃまはわがままですのう」


てなわけで、さっそくバラそうと思ったら、すっかり手順を忘れてしまっていたのでこちらのサイトを参考にしてiPodをバラす(半年前に同じサイトをみながらバラしたのに、なんにも覚えてないっていうのはどういうことだ……)。

SPECIAL 2001.10.31
http://macfannet.mycom.co.jp/special/ipod_barashi/011031ipod_barashi.html


で、バラしたときの画像がこちら。



前回はバラすのにもずいぶん苦労したけど、今回は使用済みのパスネットを使用してさくっと開腹し、すばやく問題のIEEE1394コネクタにアクセス。でもって、じゅうっとハンダ付け。もう二度と取れないようにかなり多めにハンダを盛っておく。

よし、これで大丈夫だろう。元に戻してみますか。


……と思ったら、ハンダを盛りすぎてしまったらしくケースが閉まらない。


 あれ? ちょっとやりすぎたか?


 う〜ん、あともうちょっとなのに閉まらない。


 え〜、もう一回バラして、ハンダ削るの〜〜?


なんてことをするのはとてもめんどくかったので、そのまま強引に押し込んだら一応入ったので、そのまま動作確認。すると問題なく動作した。


 う〜む、完璧。今日もいい仕事をしてしまった……。


 「へい、修理完了」

 K「あ!! ありがとう」

 「ま、お安い御用だね」

 K「……なんかここのところ浮いてない?」

 「(ギクッ!?)」

 K「な〜んかちゃんと閉まってないような……」

 「気のせい。気のせい。最初からそんなもんだったよ」

 K「……ふ〜ん、そうだったかな」

 「ちゃんと動くから問題ないって」

 K「ま、動けばいいか」

 「そうそう(フッ、ちょろいな)」


結局、初代iPodの構造上、この部分(IEEE1394コネクタ部分)はケーブルを抜き差しする際にテコの原理で負荷がかかってしまうので(ケーブルをまっすぐ抜かずに左右に揺らしながら抜き差しすると)、どうしても壊れやすいようである。しかも電源供給をIEEE1394ケーブルでかねているのでコネクタ部分が太くなっており、なおさら負荷がかかりやすい。

これはイヤフォンジャックも同様のことがいえるが、こちらはL字型のジャックを使用することで(多少は)リスクを下げることができる(詳細はこちらのリンクを参照)。でも、L字のIEEE1394コネクタというのはみたことがないから、ほしかったら自分で作るしかない……。

Modern Syntax : iPodを分解する
http://www.aivy.co.jp/BLOG_TEST/nagasawa/archives/2004/09/ipod_5.html


上記の理由で現在のiPodはDockコネクタ(iPodの下部についている独自のインタフェイス)になっているのだと思うが、この初代iPodが発表された当時はUSB 2.0は標準ではなかったので、データの転送速度を考えるとインタフェイスにIEEE1394を採用したというのは妥当な選択だったのだろう(というか、それしか選択肢がなかったというか)。

個人的には汎用のIEEE1394ケーブルを使えるという点ではこの初代iPodのコンセプトは悪くないと思うのだが、結果的にそのせいで製品の寿命が短くなってしまっているというのは、時代の流れを感じるというか、物作りの難しさを感じますのう。

ま、たまにはこういった作業も気分転換にはよいかなと。

やっぱり分解は楽しいですのう〜〜。