[会社]HTMLを教えてください
と、いわれたんである。
え? なんでいまさらHTML?
とは思ったのだが、それは一本の内線電話がかかってきたことに端を発する……。
私 「はい、3階です」
相手「あ、totsugekiさんですか?」
私 「はい、そうですけど」
相手「あの〜、HTMLを教えていただきたいんですけど……」
私 「へ?」
ちょっと補足しておくと、ある顧客から受注している刊行物(月間)をサービスでHTMLにして提供しているのだが、このHTMLというのがひどい作りで、いくらサービスとはいえこんなもの提供していいのかというレベルなんである。しかし、作業自体は前回のファイルを流用してHTML作成ソフトを使って文字を流し直すだけなので、15分もあれば作成できてしまうような内容なのだが、社内にHTMLを理解している人間がいないので、履歴書に「タグを自分で入力してHTMLを作成できます」と書いてあったというだけの理由で私が作業をしているのだ。
ちなみにこのHTMLを提供している顧客というのは、誰もが知っている有名企業で(ああ、名前書きてぇ〜〜)、入社するのにも超難関を突破しなければならず、社員はみな超がつくくらい優秀な人材のはずなのだが、なぜか私が作成するHTMLファイルを毎月のどから手が出るほど心待ちにしていて、ちょっとでも遅れるとすぐに催促の電話がかかってくるのである。
なもんで、私はいつも
おまえら優秀なんだったら、こんなちんけなHTMLくらい自分で作れよな!!
と思いながら作業をしているのだが、本当に優秀な人間はHTMLなんぞ理解する必要なんぞないのかもしれないなあ、なんて思ったりもする。
で、あとで聞いた話によると、その刊行物を担当しているオペレータ(女性:32歳・3年ほど前にDTPエキスパートを取得しているという鳴り物入りで入社した人物である)が、私が月刊誌の担当になったということで(私の)負担を軽減するべく、このHTML作成も自分で担当するという話になったらしい。
おお、ありがたいお話ですのう。なんてすばらしい気遣いなんだ。もう涙が出そうである
でも、そんなつまらん気遣いは私には不要だから、気を遣うのならもっと違うところに遣ってくれよ
などと思ったり、思わなかったり。
で、気になる電話の続き。
私 「へ?」
彼女「ですから、totsugekiさんが作成しているHTMLを教えていただきたいんですけど」
私 「ああ、あれですか。でも、HTMLっていってもわざわざ教えるような内容じゃないですけど……」
彼女「あ、そうなんですか?」
私 「ええ、簡単な作りですから」
彼女「私にもできますか?」
私 「ええ、HTMLさえ知っていれば」
彼女「え? え〜と、私はそのHTMLを知らないんですけど……」
私 「え? もしかしてホームページとか作ったことあります?」
彼女「いいえ、ないです」
私 「じゃあ、ブログとか使ったことは?」
彼女「ないです」
私 「じゃあ、HTML作成ソフトとか使ってみたこと……なんてないですよね?」
彼女「はい、ないです」
私 「(なんだかなあ)え〜とですね、HTMLっていうのは組版なんかと違って文字の大きさとか指定できないんですよ」
彼女「え〜〜!? そうなんですか〜〜!?」
私 「ええ、HTMLってみる人の環境によって変わるので、絶対的な指定というのはできなくて相対的な指定しかできないんですよ」
彼女「へ〜 そうなんですか〜。知りませんでした〜」
私 「(……こいつ全然わかってないんだろうなあ)だから、HTML作成ソフトもちょっとクセがあるっていうか組版ソフトとはまったくの別物なんですよ」
彼女「ええ」
私 「ですから、もし組版ができたとしても、HTMLを知らないとHTMLって作成できないんです」
彼女「え〜〜!? それじゃどうしたらいいですか?」
私 「そうなるとHTMLのイロハから教えないとダメですね」
彼女「はい、そうですね。そうしていただけると助かります」
私 「でも、本当になにも知らないんですよね?」
彼女「はい、なんにも知らないんです。すいません……。じゃあ、totsugekiさんの時間が空いたときで結構ですのでよろしくお願いします」
私 「………」
……じゃあ、よろしくお願いしますっていわれてもなあ。
HTMLなんて自分で勉強するものなんじゃないのか?
それに他人に「教えてください」とかいっている間に、自分で勉強しようという頭は君にはないのかね。ん?
というか、本当にHTMLとはなんぞやみたいなことから教えないといけないのだろうか?
なんか、この会社ほんとうにさむっ。
これはきっと怪談だ。ここのところ暑いから寒くしようとしているんだ。もしくはみんなで私を担ごうとしているか。
そうに違いない。
いや、そうであってくれ。