[組版]ほかのオペレータのヘルプ


をしていたのである。

そもそも大量にページがあって大変そうな組版は私にお鉢が回ってくるので、私がほかのオペレータに指示をすることはあっても、逆はほとんどないので「これはどうやってやりますか?」なんていいながら組版をするのはけっこう新鮮である。

とはいっても、中身を読みながらのんびりと修正ができるわけではなく、どう考えても納期に間に合いそうもないのでドブチョーが「totsugeki君、ちょっとみてあげてくれない?」と泣きついてきたわけだが、私からすれば「はぁ? なんですかそりゃ?」ってな感じではあるのだけれどもさ。

というのも、ちょっと前から彼女(担当のオペレータね)が大変そうな組版をしているのを知っていたので、私は「ちょっと無理っぽいけど大丈夫なのかねい」と思っていたのだが、オバカチョーからなにもいわれないし、彼女もなにもいわないということは1人でできるってことなんだろうなとのんびりしていたのである(ちなみに彼女は編集歴5年・オペレータ歴5年のベテランである)。

だが、実際には複雑な受注状況のおかげで(簡単にいうと外注の外注の外注みたいな形?)、うまくコミュニケーションが取れず、作業の進行状況は著しく遅れていたらしい。

で、この発注元(外注の外注先ね)が社長の知り合いで「進行があまりにも遅いのでなんとかしてくれ」と社長にねじこんだらしく、すぐにドブチョーが呼び出されて「お客さまをなんだと思っている!」とか「私の顔をつぶす気か!!」と延々と説教をされたらしい。

だもんで、急激にドブチョーの尻に火がついたらしく、いままでノータッチでほっぽらかしていたくせに、いきなり「1時間後に再校出し!!」とか「30分後にFAXで送りなさい!!」などと彼女に指示を出しはじめたのである。

急にせっつかれた彼女のほうは必死でやっているのだが、いかんせん彼女はいわゆる作業は丁寧だがそれに比例して時間がかかってしまうタイプなので、次から次へと催促の連絡が入ってくるのだがアウトプットがほとんどない。

私は彼女がドブチョーにキイキイいわれているのを聞きながら、いつ彼女が手伝ってくれといってくるのだろうと思っていたのだが、いつまでたってもなんにもいってこない。

次の日になってもいってこないし、その次の日になってもいってこない。

「むむむ、これはなんなんだ? こんなに切羽詰まっているのになにもいってこないというのは編集者としてプライドが許さないのか? それともほかの人間を信用していないのか?」

いずれにしてもこんな状況に追い込まれているのに平然と同じペースで仕事をし続けることができる彼女はすごいなあと思ったんである。

思ったんであるが、だからといって校正出しが早くなるわけではないので、仕方なく彼女のプライド(?)を傷つけないように「なにかできることがあったらお手伝いしましょうか?」と聞いてみたのである。

するとなぜか寂しそうに「いえ、大丈夫です」といわれた。


「……いやいや、あんた!! 全然大丈夫じゃないですから〜!!」

もうすごいね、ここは。巣窟ですよ巣窟。面の皮が厚いやつらの巣窟。これはもう面の皮が厚いなんてもんじゃないよ。どういうことを考えていたらこういうことがいえるのだろう? こういうのを厚顔無恥っていうの?>教えて!! えらい人

ってくらい、この返事に私はビックリしたのだが、別に私は人の仕事を引ったくってまでやるほど仕事が好きというわけではないし、社長の顔がつぶれようが、この会社の名前に泥がつこうがまったく構わないので、本人の意思を尊重してひたすら彼女の後ろで(私の机は彼女の真後ろなのだ)blogを書いていたのである。

そうしたらとうとうしびれを切らしたドブチョーが彼女から仕事を引ったくったらしく、今日出社したら私の机の上に山のように原稿と校正が乗っかっていた。どうやら彼女は強くいわれると断れない性格らしく、昨日私が帰ってからドブチョーがかなり強くいったようだが、これだけの量を引ったくるというのもすごいものだ。脱衣ばばあも真っ青である。

で、社長の顔をつぶさないように必死なんだけれどもただアワアワしているだけの脱衣ばばあから冒頭の言葉をいわれたわけだが、あわただしくFAXで送られてきた校正の修正をしながらなんでこうなったのかを考えてみた。

 1.彼女の作業が遅いから
 2.オバカチョーがおバカだから
 3.ドブチョーがアホだから
 4.社長がこんな仕事を受けるから

ぱっと思いついたのはこれくらいだったのだが、よくよく話を聞くとこれは月刊誌だそうで、そうなると社内に月刊誌をやれるような体制もないのに気軽にこんな仕事を引き受けてしまった4番の人が一番悪そうだが、その割りを一番喰うのは私というのはなにかがまちがっているな。

……わざとまちがってやるか。もう少しの辛抱だ。がんばろ。