くたばれ一太郎


昨日(2005年2月8日「一太郎・花子販売差し止め」)の続き。

さて、いきなりだがDTPというのはテキストデータを支給してもらうのが原則である。一昔前は手書きやワープロで印字された原稿も多かったが、PCの普及にともないデータ支給というのは圧倒的に増えた。

これは原稿を入力する手間や、制作にかかる時間が短縮でき、さらには校正にかける労力も少なくすむので、トータルのコストも下がるし、発注した側も制作する側もお互いにメリットがあるのでテキストデータの支給というのは鉄則なのだ。

ただしデータ支給といってもなんでもかんでもデータをもらってくればいいというわけではない。

意外と知らない人が多いのだが、テキストデータというのは.txt(または.text)形式で保存されたデータのことで、WindowsであろうがMacであろうが、一般的なテキストエディタで開けるデータをテキストデータといい、データ支給というのはたんに(アナログではない)デジタルデータを支給されることであって、それがどんなソフトで作成されているかもわからないデータを支給されることをデータ支給というが,もらってもデータが使えないのでは厳密にはデータ支給とはいわない。

だから、

 「これ、データはあるんですか?」

 営業「これこれ。ちゃんともらってきた」

 「なにで作られているんですか?」

 営業「インスピレーション」

 「え? それってなんのソフトですか?」

 営業「さあ?」

なんていう会話が交わされたりする。

どんなソフトで作成されたかもわからないようなデータをもってきて、鼻高々で「データをもらってきた」などというような営業はいっぺん死んだほうがいいと思うのだが、印刷所の営業であってもこんなものである。

上記のインスピレーション*1のように、少なくともDTPの世界では聞いたこともないようなソフトであれば「このデータは使えません」と突き返すことはできる。

しかし一太郎はそうはいかない。メジャーなソフトだし、歴史もある。そのうえユーザーも多い(役所関係は特に一太郎ユーザが多いらしい)。

それでも当初は会社にソフトがなかったので、データを支給されても原稿を再入力していたのだが、あまりにも入稿の頻度が多いのと*2一太郎での入稿はなぜか分量が多く、入力が追いつかないということでデータ変換用に1本購入したのである。

私はそれまで実際に一太郎を使ったことはなかったし、使う気もさらさらなかったのだが、ソフトがあるのでは仕方ない。さっそく支給されたデータをテキストに変換してみた。するとこうなる↓。

一太郎をテキスト形式で保存したファイル


……これはASCIIアートですか?


理由はわからないのだが*3一太郎での入稿は分量が多いうえになぜか表組が多いので*4、そのたびに無数に入っているスペースと罫線を削除して、出力紙を参照しながら文章をつなげて、Excelで読み込んでQuarkの表に流せるように並べ替えてからタブ区切りで書き出すという作業を行わなくてはならないのだ。

数ページくらいなら別にどうということはないのだが、このASCIIアートが50ページもあって、ジグソーパズルよろしくすべて並べ替えなくてはならない羽目になったら、……考えただけで気が狂いそうだ。

しかしデータを支給されているということは、そのとおりになっていないといけないということであり、再度入力するのはかまわないが、一字一句たりとも違っていてはならない。ということは文字校正も必要になる。

だもんで、さすがに「データをもらえるのは助かるけれども、このままだとデータが使えないので、申し訳ないけれどもテキスト形式で保存してから入稿してほしい」と当社の営業サマからお客さんにいってもらったのである。

そうしたら「テキスト形式にすると体裁が崩れるのでそれはできない」といわれたそうな。

………ソフトが悪いのか、ユーザが悪いのか、私にはよくわからんが一つだけわかっていることがある。それはソフトもユーザもむかつくということだ。


ここで、昨日いただいたコメントを紹介。

#テスターことe493『やっぱ、むりくり簡易DTP状態で、作表して図を張って折り返しをして、みたいながんばってしまう、著者の「せんせい」がたくさんいるからなんでしょうか。
でも、その意味では、MS-Wordも同罪かと思いますがいかがでしょうか。
どうせなら、まとめて斬ってください! 最後に切腹ー。。。』

はいさい、そのとおり。そういう意味ではMS-Wordも同罪である。だがWordはまだいいのだ。Wordで作成された表組をテキストで保存してもASCIIアートにはならないのだから……。

それにWord、ExcelPowerPointというのはWindows版とMacintosh版があるが、一太郎Windows版しかないのである。だからデータをもらっても仕事場にWindowsマシンがないと中身をみることもできない。

データもまともに使えないわ、親和性もないわ、ユーザも●●だわ*5でもうどうしようもない。もう一太郎は完璧にDTPの敵であるな。

別に一太郎を使うのはまったくかまわないのだ。なにを使おうがそんなものは個人の勝手だし自由だ。すばらしい機能の数々を使って、すてきな会報なり、社内報なりを作ってほしい。

だが、データを流用する可能性がほんの少しでもあるのであれば、体裁が崩れるとかつまらないことをいっていないで、せめて表組だけはExcelで作成してほしい。なんならExcelでなくてもかまわない。一太郎でさえなければなんでもかまわない。ただそれだけなのだ。

長きに渡ってだらだらと書いてきたがもうくたびれたので,最後にこの言葉で締めくくりたいと思う。


くたばれ一太郎!!


どうもありがとう。

*1:アイディアプロセッサー・プレゼンテーションツールだそうな。けっこう有名なソフトらしいが、一体そのデータで私になにをしろというのだ?

*2:会社の得意先に役所・教育関係が多いというのも一因のようである

*3:たぶん一太郎ユーザは熱心な人が多いのだろう

*4:表組作成ソフトと勘違いしているのかもしれない

*5:新バージョンでは表作成機能がついたらしいが、当社にデータを支給してくれる一太郎ユーザはあいかわらず一生懸命ASCIIアートを作っているようだ