諸々の事情というか
もともと、お互いの両親にあいさつもすませていないのに、目の色を変えて式場を探しているというのがおかしな話なのであります。
んが、私が「それって矛盾していませんか? 順番がおかしくないですか?」といくら注意をうながしても、「結婚式があげられる」、「結婚式をしたい」ということにとりつかれてしまっていて一応聞いてはいるものの、私がいうことが頭のなかにまったく入っていっていないようなのであります。
なもんで、私があれこれいうのをあきらめた途端、式場やら日程やらが次々と決まっていき、とうとう最後の予約までこぎつけようとしていたのであります。
が、式場の予約をするには内金が必要なのですが、私たちが挙式をしようとしている式場では12万円必要だといわれ、いざ予約をしようと思ったらその段になってお金がないことに気がつきました。
「どうする……?」
「どうするって、ここで挙式したいんでしょう?」
「うん」
「じゃあ、予約するしかないんじゃないですか?」
「でも、お金が……」
「別に内金くらい払えるでしょ?」
「内金は払えるけどそのあとのお金が準備できない……」
「まあ、そうですねえ」
「……どうしよう」
「……」
何度も「じゃあ、辞めればいいんじゃないですか?」といおうかと思ったのですが、なにもいわずに黙っていたのであります。
するとその日は結局、結論が出ないまま彼女と別れたのでありますが、翌日になって
「貯金の目処がつくまで白紙に戻しましょう」
というメールが送られてきたのであります。
「まあ、自分で気がついただけまし……かな?」
いってもわからないのであれば、自分で気づくしかほかに道はないのであります。