長い一日


で、二子玉川駅でS木さんと別れ、掘りたてのタケノコを持ってまずは実家へと向かったのであります。

そして実家でさっそくタケノコをゆでてもらい、味見をかねて薄くスライスしてわさび醤油で食べてみたのですが、新鮮でみずみずしくまったくアクがなく、とてもうまい。

次に若竹煮、タケノコと豚バラ肉の味噌炒めと作ってもらったのですが、どれもおいしい。そのなかでも特に味噌炒めが絶品で、


 「おいら、今日の19時から下北沢で酒飲まなきゃいけないから味見程度でいいです」


なんていっていたのにもかかわらず、箸がすすむ、すすむ。

そして箸がすすむついでに酒もとまらず、フライパンにいっぱい作った味噌炒めを母と2人で食べつくしてしまい、これから酒を飲みに行かなくてはならないというのに、すでにほろ酔いになってしまったのであります。


 「……ああ、もうお腹いっぱいだし、ダルいから行く気しないなあ」


なんて思っていたのですが、行くという約束をしてしまったので仕方なく


 「じゃあ、今日はもう帰るね。明日になったら段ボールいっぱいのタケノコが届くから、天ぷらとタケノコご飯よろしく」


と言いおき、なにも処理をしていない土付きのタケノコとゆでたばかりのタケノコをかついで18時に実家を出たのであります。

で、田園都市線で渋谷へと向かい、渋谷で井の頭線に乗り換えて18時55分に下北沢に到着。


 「おえっ、なんかすでにもう気持ち悪い」


なんて思いつつ、時間どおりに会場入りしたのでありますが、例によって例のごとく定刻より15分ほど遅れて宴会がはじまったのであります。

んが、その宴会というのが、知り合いが女子ダブルスの大会で優勝したのでそのお祝いという名目だったのですが、どうしようもないほどつまらなくて、「ああ、なんでおいらここにいるんだろう」と久しぶりに思ったくらいであります。

それに今日は朝早かったというのもあって、会話を楽しもうという元気がなかったのもつまらなさに拍車をかけます。

しかし、来られたみなさんは会話をだらだらとむだに楽しんでいる……かのようにみえるので、場をしらけさせるのもなんだしと、とにかく時間になるまでじーっと我慢し、9時ぴったりになると疾風のように会場を辞したのでありました。

そして今度は渋谷に移動してライブ帰りのe493さんと落ち合い、ビールを飲みつつ父の容体なんかを話しちゃったりして、だいぶ酒が入っていたせいでなんかいろいろとしゃべったり、熱く語ったりしちゃったせいで終電がなくなってしまい、


 「よーし、久しぶりに歩いて帰ってみるか」


と歩き始めたのですが、渋谷から二子玉川まではさすがに遠い。

それでもくじけずにひたすら歩き続け、4時間ほどかかって二子玉川に到着。そこから自転車で自宅へと戻帰ったのですが、本当に長い一日でありました。