[就職活動]そして面接へ


吹き出る汗を拭いながら受付の電話から総務に連絡すると,しばらくしてから女性が現れ,エレベーターでなにやら会議室のようなところに案内され,いつものように「履歴書をお預かりさせていただきます」といわれ,履歴書を差し出すと,これまたいつものように「お掛けになってお待ちください」といいながら,そそくさと退室.


 ああ,これから急いであれをコピーするんだろうなあ……


などと思いながら,よく聞かれる質問の受け答えを頭の中でシミュレートしていると,いかにも総務っぽいおっさんが入室してきた.


 :「どうもはじめましてtotsugekiと申します.本日はよろしくお願いします」

 おっさん:「どうもはじめまして総務の●●です」

 :「(あ,やっぱり総務の人なんだ〜♪)」


なんで総務の人って総務って感じがするのだろうかと思いつつ,「今日は蒸しますね」とか「雨は降りそうですか?」などと当たり障りのない会話をしていると,男性が1人入室してきて,そのあとすぐにもう1人男性が入室してきて,最終的に面接官は3人に.

で,さきほどの女性が急いでコピーしたであろう私の履歴書とeキャリアのキャリアシートをぱらぱらとめくりつつ,面接が始まったのだが,やはり手始めに聞かれるのは


 「なんで前の会社を辞めたのか?」


である.

私は「あ,やっぱりね」と思いつつ,事前にシミュレートしたとおり,ある程度事実を踏まえながらあることないことを必死に喋ったのだが,どうやら向こうはちっとも納得していない様子.

というか,自分自身でも穴だらけの説明だなあと思いながら喋っているのだから相手も納得できないとは思うが,そこはそれ「前の会社を辞めたのは自分自身に問題があったのではなく,会社自体に問題があったからなのだけれども,前の会社では上役にはかわいがってもらって,みんなにお世話になっていたのでとても感謝している」といったようなことを熱烈にアピールしたらば,私のあまりの必死さに「そうですか.わかりました」とその話題はそこでおしまいに.

つうか,いっている内容がどこからどう考えてもおかしいうえに矛盾しまくっているわけだが,本当のことがいえないので仕方がない.

とはいえ,総務の人にあんまりにも執拗に根ほり葉ほり聞かれるので,よっぽど


 あんまりにもアホ(な会社)なので辞めました


といってやろうかと思ったのだが,それをいってしまったらすべておしまいという気がしたので,それだけはひたすら我慢し,これは次回の反省点にしようなどと思いつつ,次に実務やスキルなどを聞かれたのでそのへんはよどみなくすらすらと答える.

まあ,実務は問題ないんだよね.きっと.

というか,いままでやっていた作業内容や自分のスキルなどはあまりにもすらすらと答えるものだから,そのぶん「なんで前の会社を辞めたのか?」という説明がぎごちないというかとても不自然な印象に相手に与えるようだ.


 う〜む,このへんが今後の課題ですのう……


などと考えていると,向こうも喋ることがなくなったらしく「なにか質問はありますか?」と聞かれたので,「特にありません」とものすごくはっきり答えたら,相手がなんだかとても困ってしまったようで5分ほど妙な沈黙が続いたのだが,「……じゃあ,質問もないようなのでそろそろ……」と面接を打ち切られたのである.

つうか,最初っから「質問はない」っつってんのに「質問もないようなので」というのはおかしいと思うのだが,まあいい.実をいうとあまり手応えは感じなかったのだが,前回はかなりひどかったから,それに比べれば断然ましである.

まあ,縁があればなるようになるだろうと,そそくさとその場を辞し,すばやく自宅に戻ってきて職務経歴書を修正し,明日のもう一つの面接に備えたのであった.