[編集]原則的に原稿は著者に返却するもの


なのではないかと下記のニュースを読んで思ったのである.

村上春樹:直筆原稿が古書店に大量流出 編集者が無断売却−今日の話題:MSN毎日インタラクティブ
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060310k0000m040171000c.html


まあ,出版社のほうで原稿を預かっているというのであれば,著者から返却を求められてもすぐに返却できるからそれでもいいけど,それを持ち出して売り払ってしまうというのはよっぽどの事情があったのかねえ.

そもそも私は

>「海」の名物編集者だった故・安原顕さん

を存じあげないのだけれども,この業界では有名な方なのかしらん(もぐりもいいところだな).


……と思ったら,ちょっとググったらいっぱい出てきました.とても有名な方なんですなあ(はてなダイアリーでもキーワードになっているようなので,ググるのがめんどうな人はエントリー中のお名前がキーワードになると思うので,こちらをクリックしてくれい).

で,問題はなんでそんな方がそんなことをしたかなのだが,村上春樹氏が

「安原さんが何故(なぜ)そんなことをしなくてはならなかったのか、僕にはその理由がわからない」


とおっしゃっているように村上春樹氏でもわからんのだから,私なんぞにはその理由を知る由もないのだが,編集を少しでもかじったことがある人間であればモラルうんぬんなどという言葉を出すまでもなく,そんなことをするわけがないのである.

ましてや,天才編集者とよばれるほどの方がそんなことをするはずがないので,凡夫の私にはよっぽどの事情があったのだろうなあということくらいしか思いつかないのだが,だからといってなにをしてもいいという理由にはならないので,この件の真相の解明と解決を期待しているのだが,問題が問題なだけに解決といっても一筋縄ではいかないだろうなあ.

しかし,この記事を読んで自分自身のことを思い返してみるに,私が著者から預かった原稿を返していたかといわれると図や表を含めて必ず返却はしていたが,よく考えたら私が編集制作に携わっていたころはすでにデータ渡しというのが基本であり,原稿というのはそのデータを出力したものが添付されてくるのが常であった.つまり手書きの原稿というものは,ほとんど存在しなかったのである.

まあ,それも時代の流れなのだなあなどと思いつつ,いま現在私は編集制作には携わってはいないものの,この件は人ごととは思えず,この件の顛末がどうなるのかに思いを巡らすのであった.

追記:

ググったらこんなものまで出てきました.このサイトの下のほうに

>●スーパーエディター死す

という見出しで対談が載っています(誰と誰が対談しているかはあえて書きまへん).お時間のある方はどうぞ.

週刊ダイヤモンド/続・憂国呆談
http://dw.diamond.ne.jp/yukoku_hodan/200301/