[会社]ネットワークは会社の命(異常発生編)
午後から私のいる部署の机のレイアウトを変更したのである。
私は毎度、段取りが悪いうえに場当たり的なことしかしないレイアウト変更なんぞ手伝う気はさらさらなかったので、インターネットをしながら傍観していたのだが、ふとみると机をずるずると引っ張って50cmほど移動させていたので、「少しの移動でもちゃんとケーブルを抜いて移動させたほうがいいですよ」といってやったのである。
そうしたら「いや、ほら少しの移動だから」なんていいながら引っ張るのを止めないので、別にどうでもいいやと放っておいたんであるな。
すると、レイアウトを変更して「やれやれやっと終わったよ」なんていいながらクライアントマシンからインターネットへの接続を確認していたら、案の定つながったり、つながらなくなったりする現象が起きた。
私は内心「やっぱりな」と思った。もしレイアウトを変更したことによってLANケーブルが断線したのであれば、復旧させるのはそれほど難しくはないなと踏んだが、そのことをいったとしても作業ができそうな人間がいるとは思えなかったし、そのことを口にしたら自分が泥をかぶることになるのが目に見えていたのでやっぱり黙っていた。
すると向こうのほうでおばあさんが2人(ドブチョーとオバカチョーね)がコソコソしながら「あちゃ〜」とか「業者を呼ぼう」とかいっている。
……明日は日曜日なんだから業者が来るはずもないし、それに今日だって土曜日なんだから業者に電話したって連絡がつかないに決まっているじゃん。
さて、この後どうするんですかねえと思っていたら、なにかこちらの顔色をうかがいながら、ばあさん2人でコソコソしているだけでなんの対応もする気配がない。
「ふ〜ん、そっちがそういう態度を取るのなら、こっちにも考えがあるけどね」などと思いながら、私は別にこのままでも仕事に支障はないし、万が一首を突っ込んだりしたら面倒なことになるだけなのがわかっていたので、そのまま無視して帰ろうと思っていたら、急に情報編集課の課長に呼び出された。
「なんの用だろう?」なんて思いながらノコノコと向かうと、あらたまった表情の情報編集課の課長に「totsugeki君、もし君が直せるのなら直してくれないかなあ? うちの部署はインターネットにつながらないと仕事にならないし、お客さんの信用なんかもあるしさあ。このまま月曜日になっても直らないとまずいんだよねえ」といわれ、一緒にいた総務課長からも「悪いんだけど頼むよ」といわれたのである。
そういわれた私は「ネットワーク管理者でもないのに、なんで私がそんなことをしなくちゃならないんですか?」といってやろうかと思ったのだが、よく考えたらこの2人になんの責任はないと思い直し、「やるのは別に構いませんけど、やっても直せないかもしれませんよ?」と答えたら、「それでも構わない」というので「じゃあ、やるだけやりましょう」と渋々引き受けたのである。
だいたいこうなった経緯からして気に入らないし、作業したからといって復旧できるかどうかもわからなかったのでかなり気が乗らない作業なのだが、私の性格からして大の大人2人に頭を下げて「やってくれ」と頼まれたのでは断るわけにはいかないのであるな。
……とはいったものの、ムダにのたうち回って絡んでいるLANケーブルをみつめながら「どうしたものかなあ」と思っていたら、同僚のS氏が「totsugeki君だけじゃ頼りないからボクも来てあげるよ」といってくれた。私は「へ? 来てもらうのはありがたいんだけど、なにをするのか知ってるの?」と聞くと、「え? どーせ、ケーブル引き直すだけでしょ? 問題ないよ」というので、ありがたく来てもらうことにした。
これでちょっとは楽になるとは思ったが、S氏は私以上にネットワークの知識があるわけでもないので、私の指示したことはちゃんとやってくれるだろうが、それ以上のことはしてくれないというのがわかっていたので、やはりここはエキスパートであるOT隊長の指示を仰がなくてはなるまいと思っていた。
しかし、私はOT隊長がいまは忙しい時期だというのを知っていたので*1、協力してもらえるかはわからなかったが、「とにかく早くにOT隊長に連絡を取らなければならない」ということで頭のなかは一杯だった。
なもんで「今日は準備があるので帰ります」といって、帰路を歩きながら明日の段取りなんかを考えつつ、ちょっぴり躊躇はしたのだけれどもOT隊長にヘルプのメールを送ったのであった。
そしてそこから長い2日間が始まったのであった……。
*1:OT隊長と奥さまはスペイン旅行の準備に追われていたのである