『カルネステーション 銀座店』新橋駅 徒歩7分

OT隊長が大手町のセミナーが終わったらそのまま直帰だというので、ふだん行けないところに行こうということになり、新橋の『カルネステーション 銀座店』に出張することに。ここは食べ放題、飲み放題がメインなのだが(というか、ほかにメニューがない)、飲み放題のリストのなかにギネスがあるので、機会があればぜひ行こうと思っていたのである。OT隊長は16時30分にセミナーが終わるらしいので、店の前で待ち合わせをすることにし、私とW隊長は電車で新橋に向かう。

新橋に18時40分に到着。プリントアウトした地図を頼りに歩き始めるが、めったに来ないものだからよくわからん。W隊長に地図をみてもらい、なんとか迷うことなくカルネに到着(私なら確実に迷ったはず)。すでに到着していたOT隊長と合流して店に入る。


するとすぐ店員に「コースはなにになさいますか?」と聞かれ、
私「ええと……、じゃあこれで」
店員「では9,000円になります」
私「へ?」

ようは先払いなんであるな。90分食べ放題・飲み放題で3,000円×3=9,000円。いきなり金払えといわれたのにはちと驚いたが。

で、お金を払うとそそくさと席に案内されたが、説明もないままほったらかしにされる。まあ勝手に持ってきて焼くだけだから別にいいんだけどもさ。座席にかばんを下ろすと、まずはOT隊長がギネスをゲットしに行き、W隊長は肉を取りに、そして私はテーブルで誰か早くなにか持ってきてくれないかなあ〜とぼけ〜っとお留守番。

なんの気なしに隣のテーブルでカップルらしき男女が肉を焼いているのをじーっと眺めていると、OT隊長がギネスを持ってきてくれたのだが、やはり瓶。正確にはエクストラスタウト瓶である。それでも飲み放題ではギネスには滅多にお目にかかれないので、ありがたくいただく。

W隊長が持ってきてくれた肉を焼いているあいだに私がサラダを調達。キャベツを山盛りにしてポテトサラダとマカロニとプチトマトを盛り合わせてごまだれドレッシングをかけてサラダの完成。あとは串にいかとたこらしきものが刺さった妙なやつとキムチと漬け物を皿に盛って、そそくさとテーブルに戻るとすでに肉を焼き始めていたので、さっそく肉をいただくが、思っていたよりも悪くない。

悪くはないけれどもよいわけでもなく、まあそれなり。そのかわり、いかやたこなどの魚類はまったくダメ。串にいかとたこらしきものが刺さった妙なやつはとてつもなくまずい。はまぐりっぽいものもあったがやっぱりダメ。ここでは魚介類は一切食べるなということだな。寿司もあったので食べてみたが、やっぱりそれなり。だもんで、肉ばかりを焼いていたのだが、そのうちにどこの部位を食べているのかもよくわからなくなってきた。

生ビールも国内外の銘柄が多数取りそろえてあるが、自分でジョッキに注ぐのでうまく注げたり注げなかったりする。だんだん慣れてくるとうまく注げるようになるのだが、そのころにはもうお腹が一杯なんであるな。たしかキリン ブラウマイスターとバスペールを飲んだような気がするが(いろいろ飲んだのでよく覚えていない)、なんとなくそんなような味はした気がする。まあ、ギネスと交互に飲んでいたので味がわからなくて当然かも知れないが。

そんなこんなで肉とビールとでお腹も一杯になってしまったのだが、制限時間までビールを飲みながら巨峰を食べたり、ライチを食べつつまったりする。というか、お腹が一杯で動けない。店員に席に案内されたときに「時間になったら退席してください」といわれたが、誰もみてないんだからそんなのわかりっこないじゃんといぶかしんでいたら、すぐそばのテーブルを片づけていた店員にあっさりと「そろそろ時間です」といわれ、「あっ、はい」といって店を出る。いや別に粘っても、もう何も飲めないし、食べられないんだけどもさ。

ま、食べ放題といったら、やっぱりこんなものなのかな。昔の食べ放題というともうちょっとおいしかったような気もしたが。ここで口にした物のなかで私が一番おいしいと思ったのはサラダと果物で、特に果物がおいしかった。なにも手を加えていないものが一番おいしいというのも皮肉な話だが、えてして食べ放題なんていうのはそんなものなのかもしれない。

よっこいしょという感じで店を出て、さてどうしたものかと思ったら、OT隊長が「よしっ、ぶらいかん*1に行こう」と言い出した。あまり気は乗らなかったのだが、ほかの店も知らないし、OT隊長はなぜか行く気満々なので、仕方なく隊長を先頭にして京橋方面に歩き始める。

「ぶらいかん」は雰囲気もよく、とてもいいところなのだが、OT隊長と一緒に行くと非常によくないところになるので*2、あんまり気が乗らなかったのである。

だもんだから、少しでも到着を遅らせようといやいや歩いていたのだが、なにかを目に留めたOT隊長が急に『TARU』という名前のバーに入ろうと言い出した。OT隊長いわく「この店、前から入ってみたいと思ってたんだよね。歴史があるし、かなり有名だよ」。

ふ〜ん、私なんぞは名前すら聞いたこともなかったけれども、たしかに店構えも内装も趣のある作りだし、店の雰囲気も古き良き時代を思わせる。しかし逆に雰囲気がありすぎて、いまの私たちにはかなり不釣り合いな店なのはまちがいないとは思った。なんにせよ、せっかく入ったことだし、とにかく一杯飲もうということで私は余市12年の原酒モルトをロック、OT隊長は同じく余市12年の水割り、W隊長はスーパーニッカの水割りを頼む。

どう考えてもこの店では余市12年を頼むのがセオリーだと思うが、それでもスーパーニッカを頼むあたり、徹底しているというのはある意味すごい。それにスーパーニッカといってもメニューに「(ハウスウイスキー)」という表記があるので、市販されているものとは一味違うのかもしれないけれども、その違いは絶対にわからない。だって、市販されているスーパーニッカを飲んだことがないもの。

で、シングル900円もする余市12年はさすがにまろやかでいい香りがする。口に含むと最初はちょっとしびれるが、舌でころがすとウイスキー特有の甘みが口の中に広がって、ウイスキーの本当のうまさを実感させてくれる。余市12年と店の雰囲気に酔いつつ、ソファーに深々と腰掛けてまったりし、しばし時間を忘れる。しかしそんなに長居もしていられないので、もう1杯おかわりをしてから店を出た。

しかしOT隊長には余市12年は強すぎたらしく、すでにできあがってしまったご様子。足取りも軽く、酔っぱらい特有の早足でせかせかと歩き続けて15分も歩くと目的地に着いてしまった。

OT隊長は少しも後ろを振り返ることなく、すたすたとビルのなかに入っていってしまったので、このまま迷ったふりをして帰ってしまおうかとも思ったが、W隊長は来るのははじめてだし、W隊長一人きりでは寂しいだろうから、しょうがないなあと思いながら店の扉を開けると、OT隊長の姿がない。

「どこ行った!?」

すると後ろから「トイレ行ってた」

……まったく。

だいぶ酒が回っているOT隊長は、ママさんにキープしてあるメーカーズマークの水割りを作ってもらってかなりご満悦。

「こいつは知り合いで、あっちは前いた会社の後輩」

「あらぁ、じゃあ奥さんと同じ会社?」

「はい、そうです」

「じゃあ、みんな知り合いなのね。奥さまは元気? 前来たときは仕事が大変だっていってたけど……」

「ああ、いまでも大変ですけど、元気は元気ですよ。で、こいつは結婚のときの保証人に……」

「あら、そう〜」

……絶対にこの話になるんであるな。まったく困ったものである。

OT隊長はとってもご機嫌で、大きな声で「うえださんが……」とか「俺はさあ」とか言っていたのだが、急に電話してくると言って席を立ち、10分ほどして戻ってきたら「携帯がない」と騒ぎ始めた。みると確かにいつも首からぶらさがっているストラップがない。

まったく酔っぱらいはしょうがないなあと探しに行こうと思ったら、OT隊長のズボンのポケットからストラップがはみ出ていたので、

「ほら、右のポッケに入ってますよ」と冷たく指摘すると

「あ、ほんとだ。……バカヤロー、お前たちを試したんだよ!!」

「はあ?」

「お前らが気が利かないからこういうことになるんだ!!」

「はい、はい」

「とりあえず、このボトルを開けろ!!」

「ええ〜!?」

……なみなみ入ってるじゃん。そんなの無理だっつーの。まったく困ったものである。

それでもまだママさんを交えて「ヒララトミさん」とか「このバカ野郎」とか大声ではしゃいでいたのだが、トイレに行ったりしてうろうろしているうちに酔いが回ったらしく、静かになったと思ったらカウンターでぐっすりと眠っていた。おいおい、私らどうすんねん。

時計をみるとすでに12時を回っていたので、「じゃあ、そろそろお暇しますか」と声をかけると、ママさんが「お客さんもいなくなったし、電車もなくなっちゃったから、もうちょっとゆっくり飲みましょうよ」といって、なぜかカウンターに私、W隊長、ママさんと並んで腰掛け、グラスを傾けながら、これまたなぜかママさんの昔話(というか自慢話?)を聞かされるはめに。W隊長と二人でひたすら相づちを打ちながら、いつ終わるともなく続く話に「やっぱり来るんじゃなかった」と自分の意志の弱さを呪う。

そして相づちを打ち続けること1時間。やっとこボトルが空いてめでたくお開きに。あんなになみなみ入っていたボトルが空くというのは、どう考えても飲み過ぎであるが、よく飲んだものである。

「さあ、店を出ますよ〜」と熟睡しているOT隊長を起こすと、ふらふらと無言で店の外に出ていってしまった。私たちはママさんが「一緒に出ましょう」というので、片づけを終えるのを待っていたのだが、急に階上でピー・ピー・ピー、ガシャンガシャンガシャンとすごい音がした。どうも誰かがシャッターを開けているらしい。

「あら、あの人なんでも知っているのね。このビルのシャッターの開け方なんて、なんで知ってるのかしら?」といいながら、身支度をして足早に階段を上がると扉の外で座り込んでいるOT隊長の姿がみえた。

「……あらあら。じゃあ、ちょうどシャッターも開いてるし、私ちょっと片づけしていきたいからここでいいかしら?」

「え……? あ、はい。どうもごちそうさまでした」といって、すでに閉じかけているシャッターをくぐってビルの外に出ると、足下がふらふらした。

道に座り込んでいるOT隊長を横目にこれからどうしたものかと考えていたら、やにわにむっくりと立ちあがって手を挙げ、タクシーを止めた。「お、どこかに行く当てがあるのか。さすが隊長」と思ったら、自分だけそそくさとタクシーに乗り込んでそのまま発進してしまった。

私たちはなんだかよくわからないうちに取り残されてしまい、「ポカ〜ン」。

私たちは2人でしばし放心状態だったが、「……とりあえず近場のダーツにでも行きますか」と気を取り直し、前もって新橋近辺のダーツバーをプリントアウトしておいた紙を探したのだが、どこにも見あたらない。

「あ! OT隊長が持ったままじゃん。あんにゃろう〜〜〜!!」

こうなると最寄りの駅の方向すらわからないので、どうしようもない。仕方なく態勢を立て直すためにタクシーで神保町に戻り、三省堂の前で降りて、ふらふらとダーツバーSPLATに入ると、なかはものすごい活気で人があふれていた。「ああ、なんだろうなあ」と思いながらテーブルに着き、ラムトニックを頼んで、お腹いっぱいのはずなのになぜかナシゴレンを食べながらダーツが空くのを待ったが、一向に空く気配がないので、一杯飲んだらすぐに店を出た。

その後は神保町界隈をふらふらと俳諧し、最後になぜかデニーズに入ってハンバーグステーキを食べたりする。なんであんなところに入ったのかいまでもよくわからない。

それでも始発に乗ってなんとか帰りついたが、飲み過ぎ&食べ過ぎで気持ちが悪い。


カルネステーション 銀座店』

東京都中央区銀座8-10先銀座ナイン3号館B1
TEL:03-5568-6167

★本日飲んだお酒★

ギネス エクストラ スタウト瓶×4、余市12年原酒モルト×2、メーカーズマーク 水割り×たくさん、
ラムトニック×1、ほかいろいろ

*1:京橋駅付近にあるOT隊長の行きつけのバー

*2:誤解のないようにいっておくが、ママさんはいい人だし、ぶらいかんはとてもいいところだ