[web]人気漫画を無断でHPに、ネット喫茶経営の男ら逮捕


う〜ん,やっぱりこれはやばかった.

asahi.com: 人気漫画を無断でHPに、ネット喫茶経営の男ら逮捕
http://www.asahi.com/national/update/0214/SEB200602140002.html


つうか,

>人気漫画を無断で

って,人気漫画じゃなくたってダメだと思うんだけど,人気漫画だと足がつきやすいってことか?(よくわからんけど)

実は私はこのサイトの存在をid:rgb400さんの日記で知ったのだけれども,

書いていいのかどうか迷っているのですが
http://d.hatena.ne.jp/rgb400/20051101#p2


興味本位でそのサイトに行ってはみたものの,


 うぉ!? これは確かにやばい!!


とすぐに立ち去ったのだが,サービスを受ける側とすれば人気のある漫画がweb上で立ち読みという形で無料で読めるわけで「このサイトはすばらしい」と頻繁に使用する気持ちもわからないでもない.

だが,ちょっとでも出版に携わったことがあり,出版の暑苦しさを知っている人間であれば,このサイトが立ち読みというサービスを続けるかぎり,いずれというか確実に摘発されるのは目に見えていたのである.

つうか,そもそも出版っていうのは著作権とか出版権(いわゆる版権といっていたやつだが,いまは出版権というらしい.ちなみに版権も著作権のなかの一部だそうな.詳しくはこちらをみてくれい.)とかいう著者や出版社や印刷所を守るための権利があるのだが(つうか,主に著者と出版社ね),そのおかげでというか(そのせいで)ある意味がんじがらめな世界なんである.

そんななかでいわゆる「まっとうな出版物」を出版しようとすると,七面倒くさい手続きやら契約やら了承やらを取らないといけないわけで,しかも著者やほかの出版社との力関係とか利権なんかもからんでくるので,最低でもその出版物を出版する1年前とか下手すると2年前とかから著者やほかの出版社との交渉や契約なんかをはじめないといけないので,とってもめんどうくさいのである.

でもって,たとえいかなる理由(手続きが間に合わないので強引に出版してしまったとか,人手が足りないうえに手続きがめんどうくさいのでやっていられないとか)があったとしても,その出版物に少しでも不備があれば,ほかの出版社はおろか著者にもすぐに訴えられてしまうという,そりゃもうダークな世界なんである(その出版物が売れていればなおさらである.しかし売れていなければ人の目にさらされないわけだから,そんな手続きは省略してしまっても大丈夫……と思うのは浅はかである).

逆にいうと,そうやって著作権というすばらしく尊い権利が日々守られているわけだが,日本の場合それが過剰というか,あんまりにも過保護なのではないかという意見もあるのである.

だもんだから,自分のblogやサイトに「この漫画すごくおもしろいからみんなにも紹介してあげよう」と善意(?)で漫画の内容をちょっとでも転載してしまったりすると,悪意がまったくなかったとしても事前に著者や出版社に許可を取らないかぎり著作権に引っかかっている可能性があるのだ(というか,可能性があるのではなくて確実に引っかかっている).

つうかね,個人のwebサイトに書籍の内容を紹介するのに許可なんて取る? お金を取っているわけでもないのにそんなことしないよね?(商業的なサイトであっても許可は取らないと違法ですよん)

だから,この逮捕された人は

「漫画喫茶の宣伝のために、1、2ページずつ公開したが、どうせ著作権法にひっかかるのならば全部公開しようと思った。後で著作権料を払えばいいと思っていた」


という供述をしているのである.

つまり,1,2ページ公開するのも,全ページ公開するのも著作権法に引っかかるのであればたいして変わらないだろうと考えたようだが,だからといって公開し続けてもいいということにはならなかったというわけだ.

でも,たとえば私がこのblogにある漫画の内容が判別できる画像を1,2ページ公開したとしよう.するとそれは著作権法には引っかかっているけれども,だからといってすぐには逮捕されない.

なぜなら,そういうサイトは世の中にいっぱいあるので,そういうマクロなサイトを実際に取り締まるのは非常に困難であり,すべてを取り締まるのは実質,不可能だからである.

では,なんで上記のサイトの運営者が逮捕されたのかというと,あんまりにもおおっぴらにやっていたのと(漫画の全ページの公開),大手出版社に警告されたにもかかわらず公開をやめなかったせいなのだが(もしこれが有料だったらもっと早くに逮捕されていたはず),上述したようにだからといって(すぐに逮捕されないからといって)なにをしてもいいというわけではないので,安易に自分のblogなどに漫画にかぎらず,書籍や写真集の内容が判別できる画像を載せたりするのはやめましょう.

でも,実をいうと私も「自分のところで出版する出版物がどうやったら著作権法に引っかからないか」とか「なにをしたら著作権法に引っかかるのか」ということは知っているのだけれども,それ以外のことはさっぱりなので,もっと詳しく知りたいという方は下記のサイトを参考にしてちゃぶだい.

わたしたちの著作権講座
http://neo-luna.cside.ne.jp/copyright/index.htm


……つうか,著作権ってこんなにあるのね,知らんかったよ.